[R15] 女性を愛する天才の俺様、異世界を救う (JP) – 1章 1節 10話 地球の女神 絶好調(アン視点)

前書き

R15

第1節 地球の女神(第1章 勇者の村)

第 10 / 12 話

<どんどんやってきているわよ!>

 建国したばかりのユウタの王国にはユウタの顔の広さとアンに仕えている天使達の活躍により訳有りの人や故郷を捨てた人達、商人や出稼ぎ労働者などといった人がたくさんやってくるようになった。

「ユウタ!人がどんどんやってきているわよ!どうするの!」

 私一人じゃ全員は面倒見切れないわよ!

 てか一人でも無理よ!

「承知しました。私に任せてください」

 ユウタはそう言って漁師ギルドとか大工ギルドとか労働者組合?を作って来訪者にどんどん職を割り振っていったわ!

 ま、どれも私に出来るような事ばかりだけど!

 かくして王国にはギルド(職業団体=組合)制度が導入され周辺の集落とも連携し交易の中心地となっていった。

<乗馬を教えて!>

 そしてアンはユウタに乗馬を教えてもらう事となった。

「ねぇ!私もユウタみたいにお馬さんに乗れるようになりたいから乗馬を教えて!」

 ニンだって乗れてるんだから私だって出来るはずよ!

 アンはニンに女としての対抗意識を燃やしていた。

「承知しました。それでは乗馬の練習をいたしましょうか」

 ユウタは私の言う事を何でも聞いてくれて本当に良い勇者だわ!

 ユウタは馬をアンの目の前まで手綱を引いてきた。

「ちゃっちゃと私に伝授しなさい!」

 乗馬なんてどうせ簡単なんだから!

<心を通わせてみてください>

「承知しました。それでは先ずは馬を撫でて心を通わせてみてください」

 しょうがないわね!

「分かったわ!よーしよーし」

 アンは馬を優しく撫でた。

「それではこの鐙に足を掛け馬に跨ってください」

 危なっかしいけどやってみるっきゃないわね!

「分かったわ!でも私が落ちそうになったら助けなさいよ?」

*(凄いわ。アンが自発的に頑張っているなんて)*

 ティアラはアンが自発的に取り組んでいる様子を見て感動していた。

<その時はお任せてください>

「承知しています。その時はお任せてください」

 なら安心ね!

「じゃ、行くわよ!」

 覚悟を決めたわ!

「はい」

 そしてアンはたどたどしくも鐙に足を掛け何度も跨ろうとしついに馬に跨る事が出来た。

「やったわ!」

 私だってやれば出来るのよ!

*(おめでとう、アン!)*

「おめでとうございます、アン様」

 ユウタはアンに拍手した。

<で、次はどうしたら良いの?>

「で、次はどうしたら良いの?」

 自分で降りれないんだけど!

「とりあえず乗馬の感覚に慣れていただく為にも少しお散歩してみますか?」

 それは良いわね!

「ええ!お願いするわ!」

 かくしてアンはユウタとの乗馬を楽しんだ。

<いつ結婚する?>

 そして国が順調に発展していっていたある時アンはユウタとニンの会話を聞いてしまった。

「ねぇ、いつ結婚する?」

 ちょっと!二人でこそこそ何喋ってるのよ!

 って、け、結婚!?

「いつが良いと思う?」

 ちょっと!ユウタまで何で乗り気なのよ!

 二人の会話を盗み聞きしていたアンは焦り始めた。

「そうね~。シェイクはもう王様だし、もうちょっと国が落ち着いてきてからにする?大勢の人に見てもらいたいし」

 シェイクって何よ!ユウタはユウタよ!てか わ・た・し の勇者なんだけど!

<もう我慢できない!>

 もう我慢できない!

「ちょっとあんた達!そこで何こそこそ喋ってるのよ!」

 私抜きで秘密の話をしてたら許さないわよ!

「じゃ、あたしはもう行くね……!」

 ニンは速足で部屋から出て行った。

「ユウタ!二人で一体何喋ってたのよ!」

 徹底的に問い詰めるわよ!

「アン様、私はニンにいつ結婚したいかと尋ねられていたのです」

 ……。

「ユウタはシェイクじゃなくてユウタなの!私の勇者なの!だから絶対にニンなんかと結婚しちゃ駄目よ!」

(……)

<言わなくても分かってるわよ……!>

「言わなくても分かってるわよ……!私は我儘で駄目な女神よ……!ユウタだって本当は私の事嫌いなんでしょ……!」

 自分でも分かってるのよ……。

「別に嫌いではありませんよ」

 嘘よ!

「じゃあどうしてユウタはニンとだけ親しそうに喋ってて私にはその他大勢と喋ってる時みたいに喋ってるのよ!」

 私だってユウタからしたらその他大勢なんでしょ!

「私はアン様とも親しく話しているつもりです。しかしアン様は女神様ですから、たかが人間の私がアン様と気安く話す訳にはいかないでしょう?そしてニンは幼馴染ですし、その他大勢は利害関係者ですから私がしっかりしていなければなりませんでしょう?」

 私が女神だから悪いって言うの!?

<私の事だって好きになってよ!>

「私にだってニンの時みたいに喋ってよ!私の事だって好きになってよ!」

 もう涙が止まらないの!どうしてくれるのよ!

(……)

 アンは号泣してしまった。

「私、シェイクが国を造るだなんて言い始めた時は訳が分からなかったけど、やっと腑に落ちたわ。シェイク、私と結婚したいならアンとも結婚してあげて」

 ちょっとあんた盗み聴きしてたの!?

 アンはニンに聴かれていたと知り急に恥ずかしくなった。

(ニンにアンが女神な事が知られてしまったか)

 もう!余計なお世話よ!えーーん!

*(わたくし目が離せません……!)*

 ティアラはアン達の様子を恋愛リアリティ番組の如く手に汗握って見守っていたがティアラがめっぽう好きなジャンルがそれであった。

 しかも自分が特別目を掛けている女神の大事な場面とあって心配で気が気でなかった。

<僕で良いのかい?>

「アンは相手の男性が僕で良いのかい?」

*(あら!すんなり口調を変えましたね!さすがアベルの生まれ変わりみたいなお人!話が早いです!)*

「あったり前よ!」

(女神がどうして僕の事を好きになったのか分からないけれど)

「それじゃあアンもニンも一緒に僕と結婚しよう」

 やったわ!

(やったね アン!)

 もうすっかり仲良くなっていたアンとニンは二人手を合わせて飛び跳ねてきゃっきゃし始めた。

 当然アンは泣き止み笑顔になっていた。

<いつにしようかしら?>

「じゃ、結婚はいつにしようかしら?」

 今からでも結婚したいわ!

「準備も有るし今は建国でばたばたしてるから落ち着いてからにする?」

 ニンはアンに延期を提案した。

 それもそうよね!

「ええ!そうしましょう!」

 アンとニンは二人だけでどんどんと話を進めていった。

 かくしてわだかまりも解けたアン達は共に結婚する運びとなったのだが、これは煮え切らないアンの背中を押す為にニンが仕掛けた事だと見守っていたティアラを除いて二人は知る由が無かったし、アンもニンもユウタが奥手で後回し地獄に陥る事もこの時は知る由が無かった。

<おめでとう!>

 そして亜空間に戻ったアンは皆から拍手喝采された。

「アン、おかえりなさい!おめでとう!」

 ティアラはアンを祝福し――。

「アン様、おかえりなさいませ!おめでとうございます!」

 ――天使達も拍手喝采してアンを祝福した。

<私頑張ったわよ!>

「皆ありがとう!私頑張ったわよ!」

 確かにアンも頑張ってはいた。

*「家はそんな感じでちゃっちゃと造っちゃって!」*

*「お肉やお魚は……とりあえずたくさん必要よ!たっくさん!」*

*「子供は全員学校でお勉強よ!後 大人も楔形文字の勉強は必修よ!」*

*「鍛冶師もじゃんじゃん剣と弓矢を造るのよ!」*

 といったように大変大雑把なものであったが人手不足の中 王政側としてユウタを手伝い役に立ってはいた。

<見守っていたわよ!>

 さらにアンは一切 女神としての力を使っていなかった為ユウタとアンのコンビのスコアは文明レベルが初期過ぎるという注釈が付いてしまうし指標にもよるのだがティアラの世界の過去最高クラスのスコアに達していた。

「ええ!皆で見守っていたわよ!それに過去最高スコアよ!おめでとう!」

 ティアラはスコアをアンに見せてあげた。

「おめでとうございます!アン様!」

 1号達はそう言ってアンに拍手喝采していた。

「えっへん!どんなもんよ!」

 スコアって何の事なのかさっぱり分からないけど!めでたいわ!

 アンは訳が分かっていなかったが褒められている事は明らかであり大層誇らしげに胸を叩いてえっへん!とした。

<アンも行けるわよね?>

「アン、早速だけど神々を招いたお祝いパーティーの準備をしているの。既にお客さん達に招待も送り終えているのよ!もちろんアンも行けるわよね?」

 それは本当!?

「もちろん行くわ!皆で私の大成功を祝ってくれるのね!」

 祝ってもらえるのなら大歓迎よ!

「ええ!そうなのよ!貴方のお祝いパーティーなの!」

(アン様も世界神様もまるで親子のようですね)

 1号は世界神とアンが意気投合している様子を見て相性が良く意外と似た者同士だなと思った。

「ママ!私頑張るわ!」

 パーティーで わ・た・し がいかに素晴らしい め・が・み かを世界中の神々に知らしめてやるわ!

「ママも頑張るわよ!」

(この勇者の魂をわたくしが独占する為にもアンがわたくしの紐付きだという事を示さなければ!)

 世の中には優秀な勇者の魂を狙う不届き者な神がおりアン自身もあの性格の為ひんしゅくを買ってしまうのは目に見えておりティアラとしてはアンに粗相するべからずと世の神々に牽制しておきたかった。

 かくしてアンとティアラはパーティーに行く準備を始めた。

<結婚しましょうね>

 そしてアンはパーティーへ行く前にユウタと夜景デートをする事にした。

「大好きよ、ユウタ。落ち着いたら結婚しましょうね」

 ああん!その日が待ちきれないわ!

「僕もアンの事が大好きだよ。うん、そうだね。落ち着いたら結婚しようね」

 愛してるわ!ユウタ!

 かくしてアンはユウタとの夜景デートを終えた。

<誠にありがとうございます>

 そしてアンはパーティーに今宵の主人公として登壇した。

「皆様、今宵はこの女神アンの成年を祝うパーティーにお越しいただき誠にありがとうございます」

 え!?私の成年パーティーだったの!?

 アンは成年儀礼だった事を全く分かっていなかった。

 そしてアンは活躍を知った神々から拍手喝采され有頂天になった。

 私は恋も仕事も絶好調ね!

 かくしてアンは自分の成年パーティーを満喫し心底絶好調だと実感した。

後書き

主人公による都市計画としては主要道路は片側二車線、生活道路は片側一車線の幅で区画は基本的に正方形で使用目的ごとに割り振っていきました。

職業は大工や職人、漁師といった極々一般的な枠組みで、労働者は組合に加入し組合単位で仕事し、給料は最初は衣食住といった現物だったのですが、銀といった貴金属の流通量が増えると同時にそういった貴金属を通貨として支給する事も増えていきました。

ちなみにこれはスピンオフ行きだと思いますが、故郷とも交易すると同時にきちんと連絡も取っており長老との約束も果たしています。

その一方でアンだって……ちゃんと頑張っていました……!頑張っていたんです……!(笑笑笑)