[R15] 剣道部の優しく好奇心旺盛な普通の女子高生、異世界に聖女として召喚されるも追放され英雄侯爵に買われる – 1章 1節 1話*召喚
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青年女性向け – ソフト – R15
第1節 召喚(第1章 召喚)
第 1 / 12 話
約 5,500 字 – 10 場面 (各平均 約 550 字)
1/10. え……?どうなってるの……?
え……?どうなってるの……?
私は学校から帰宅途中に突如光に包まれて視界が開けると儀式の間の様な場所で白いローブを着た人達に囲まれて魔法陣の上に立っていた。
「おー!」
「召喚が成功したぞ…!」
「新たな聖女様が降臨なされた……!」
召喚士達は召喚の成功を喜んでいた。
*召喚は召喚したい者の条件が高ければ高い程魔力を必要とし仮に召喚魔法を行使しても召喚が成功するとは限らない為この召喚士達の場合は1日1回全力で行使し1か月に1回成功すれば良い方という代物だった。*
召喚……!?聖女……!?
「早速ステータスの確認を……!」
聖女召喚院長・大司祭チェスター・ウェインライトは待機させていた召喚聖女院付きでステータス鑑定士でもあるオリーヴ・ハウトンにステータス鑑定を命じた。
「はい」
オリーヴは魔法陣へと向かった。
ステータスの確認……!?
この人達は一体何者で何を言ってるの?
2/10.「今から貴方様の『』を鑑定します」
「今から貴方様のステータスを鑑定します」
オリーヴは魔法陣の中に入ると声を掛けた。
「貴方達は一体何なんですか?召喚って?ステータスの確認って何の事ですか?」
私は同じ女性で話し掛けやすいかなと思った相手に分からない事を立て続けに訊いた。
「あとで教えますので今は大人しくじっとしていてください」
オリーヴは早速ステータス鑑定に入りたかった。
「あとでって……そ、そうですか……」
私はステータス鑑定が何なのか分からないし痛い思いをするのも嫌だから言われた通り今はじっとしている事にした。
「はい。それでは失礼します。ステータスオープン」
オリーヴは両手をかざしてステータス鑑定を始めた。
ステータスオープンって……アニメでなんかそんなシーンが有った様な気がするけど……あ、そうか。この人達はコスプレ集団か何かでこれはどっきりの企画って事なのかな。なーんだ。
この時の私はまだ突然の事に理解が追い付かなくてなにかのどっきりだと思ってた。
するとモニターの様なものがギュイン!と表示されて――。
「え……!?」
――驚いた私は思わず声が出てしまった。
目の前で実際にこの世のものとは思えない現象を目の当たりにしてこれが悪趣味などっきりなどではなく現実なのだと理解し始めた。
てか私に能力なんて無いけど……。
私は相手に隅々まで覗かれてる様な気がしたし能力なんて何も持ってないだろうからそれを見られるのも恥ずかしかった。
3/10.「『』結果はどうだったのだ?」
「鑑定結果はどうだったのだ?」
チェスターは鑑定結果を催促した。
そしてオリーヴはごくりと息を呑んだ。
ど、どうだったんだろう……。
私は鑑定結果が心配だった。
「腕力や身体強化などは――」
オリーヴが腕力などの事を言おうとすると――。
「そんなものはどうでもいい。聖魔法は使えるのか?回復魔法は使えるのか?」
――チェスターはオリーヴの話を遮り聖教会で聖女に求められている大事な能力についてを訊いた。
「それは……」
オリーヴは再び息を呑むと言い渋っていた。
ま、まさか……あまり良くなかったのかな……。
召喚された私がこの人達にがっかりされるのは避けたかった。
「私は資質としては高ステータスだと思います。ただし聖魔法については要修練でしょう……」
オリーヴは正直に答えた。
4/10.「それではわしは『』に報告してくる」
「そうか。それではわしは枢機卿大司教様に報告してくる。お前達もいつも通りにせよ」
チェスターはがっかりしながらもいつも通りざっくりとした命令を下すと退室していった。
「はっ!」
全員チェスターに返事をすると――。
「お前達は全員詰所に戻るぞ!聖女様にお辞儀を!」
――召喚士達はお辞儀をしてぞろぞろと退室していった。
「聖女様、私はオリーヴと申します。これから宜しくお願いします」
オリーヴも自己紹介すると頭を下げた。
「宜しくお願いします……オリーヴさん……」
私もついつられてこくりと頭を下げてしまった。
これから宜しくって……私は帰れないのだろうと悟った。
でも私を帰して!って喚こうという気にはならなかったしむしろわくわくしてた。
「これから貴方様を召喚聖女院へお連れします。付いてきてください」
オリーヴは召喚聖女院へ移動しようとして――。
「はい……分かりました……」
――私はオリーヴに付いていった。
5/10.「私達は『』」
そしてオリーヴはゆっくりと歩きながら――
「私達はローランド王国の聖教会で先程の場所は聖女召喚の間です」
――私に説明を始めてくれた。
「聞いた事無い名前の国です……」
私はやっぱり異世界に来てしまったんだなと思った。
「そうでしょうね。そして召喚とは私達が行っているのは『聖人召喚』と呼ばれるもので私達は男性の場合は『勇者』や『聖人』、女性の場合は『聖女』を召喚する事で有史以来様々な困難を乗り越えてきました」
オリーヴは先程の質問に答えていった。
「『聖人召喚』……『勇者』……『聖女』……」
私は少しずつだけどどういう事なのか分かってきた。
「はい。そしてステータス鑑定とは文字通りステータスを鑑定する事でこの様に自分や相手のステータスを表示し確認する事です」
オリーヴは解説しながら実際に自分のステータスを表示してみせた。
「へー。凄いですね」
私はつい感心してしまった。
「それ程でもありません。そしてステータス確認も文字通りステータスを確認する行為の事ですが勇者や聖女を召喚した時はすぐにステータスを確認する事が習わしになっているのです」
オリーヴはステータス確認についても説明した。
6/10.「じゃあ『』だったって事ですか?」
「そうだったんですね。あ、じゃあ凄いステータスだったらみんなが驚く場面だったって事ですか?」
私は思い付いた事を訊いてみた。
「滅多に無い事ですがそうですね」
私の時は若干がっかりムードだったし滅多に沸く事が無いと分かって少しほっとした。
「そうなんですね。でもオリーヴさんは私のステータスの事言い辛そうにしてたのでやっぱり私のステータスってあまり良くなかったんですか?」
私は恐る恐る自分のステータスについてを訊いてみた。
「私が先程言った通りです。基本的には資質としては高ステータスですが聖魔法や治癒魔法については要修練といったところです」
オリーヴは正直に答えた。
「そうですか……」
私はさっきのおじさんの口ぶりからして聖女に求められているのは聖魔法や治癒魔法なんだろうと察していて私が自らの意思で自信満々でここに来た訳ではないけれどつい自分で自分にがっかりしてしまった。
「はい」
オリーヴは淡々としていた。
7/10.「ここからが『』の敷地になります」
そして――。
「ここからが召喚聖女院の敷地になります」
――召喚聖女院の敷地内へと入っていった。
「そうなんですね。ここも建物が立派です」
聖女召喚院は建物がどこか神殿の様だったが召喚聖女院の外観を見ると前世の学校を思い出した。
そして――。
「見て!新たな聖女様よ!」
「ようこそおいでくださいました!」
私はオリーヴさんと同じ格好の女性達から挨拶された。
「ど、どうも……」
私は苦く微笑んで手を振って返事をする事しか出来なかった。
「召喚聖女院には聖女達の身の回りのお世話を行うシスター達が大勢います」
オリーヴはシスターの存在についても教えた。
「そうなんですね……でもこんなにシスターさん達が必要なんですか?」
私はシスターの人数が私一人に対して多過ぎるのではないかと思った。
「聖女様は貴方様以外にもおられるのです」
オリーヴは他にも聖女がいる事を話した。
「私以外にもいるんですね。私1人だけだったらどうしようかと思いましたが他にもいると聞いてほっとしました」
私は肩の荷が下りた様な気がした。
8/10.「ですが……」
「ですが……いえ、何でもありません」
オリーヴはつい言い掛けてしまったが言い留まった。
「何ですか?気になっちゃいますよ」
私はオリーヴさんが何を言い掛けたのか気になってしまった。
「いえ、何でもありません。――着きました。こちらが貴方様のお部屋になります」
オリーヴは部屋の戸を開けた。
「良い感じのお部屋ですね」
私は中を覗き込んでみたがそれなりにしっかりしていて安心した。
「気に入っていただけたのなら幸いです。それではどうぞ中へ」
オリーヴは中へといざない――。
「はい」
――私はそれに従って部屋の中に入ってみた。
「このお部屋が召喚聖女院で貴方様がお使いになるお部屋になります。そしてこちらが貴方様の身分証などになります」
オリーヴは専用部屋である事を話し机の上に身分証などが用意してある事も身分証の上に手を置く様にして教えた。
9/10.「『』証……?」
「身分証……?」
私はつい訊き返してしまった。
「はい。貴方様がこの世界で不自由無く生きていかれる為に必要なものですのでご確認ください」
オリーヴは必要な書類に目を通しておいてほしかった。
「分かりました……――」
私はその書類とやらを手に持って目を通してみると――
「――え……私の名前はコリンナ・ブリンドル……!?」
――名前の欄に「コリンナ・ブリンドル」と書かれていて驚いた。
「はい。こちらで用意させていただいた書類ですので名前もこちらの世界に溶け込みやすい様にと考えさせていただきましたがそのたの情報についても変更する事は可能です」
オリーヴとしても「コリンナ・ブリンドル」は仮の名前であり本人が受け入れてくれるとは思っていなかった。
「そうですか……名前は考えさせてください……」
私は異世界の名前なんて分からないけど自分の名前ぐらい誰かに決められるぐらいだったら自分で決めたかった。
「分かりました。それでは私は院長様に報告してきますのでこちらでお待ちください」
オリーヴは召喚聖女院長・大司祭エスター・シューリスに報告しに行きたかった。
「はい……ありがとうございました……」
私がそう言うとオリーヴさんは戸を閉めて退室していった。
「コリンナ・ブリンドル、ね~」
私はベッドに座って身分証を手に持ちながら語感や語呂を確認する様に名前を読み上げた。
10/10.「てか私――」
てか私元の世界に全然帰りたがってなくない……?
私は自分が元の世界に帰れないかもしれない異世界に召喚されたのにもかかわらず不思議と帰りたい気持ちが薄かった事に驚いた。
そして前の暮らしを思い出してみると――。
「だよねー」
「うんうん。マジでやばいよねー」
私はいつも同じ様な日々に退屈を覚えてた。
何が好きとか嫌いとか誰がイケメンだとか昨日家で何が起こったとか家族とのお出掛けが楽しかったとか宿題がだるいとか私も同感だし気持ちは分かるけどなんか薄っぺらさというか中身の無い日々に私は飽き飽きしてた。
だから刺激を求めていなかったと言えば嘘になるんだけど……。
でも……。
異世界に召喚されたいだなんて一度も願ってないんだけど……!
私は溜息を吐くとベッドにばたんして天井を見上げた。
私はどうも本意に関わらず召喚にしても名前にしても誰かの意思で強制されるのは嫌らしい。
まぁでも今はとりあえず自分の名前を考えなくちゃ……。
私はオリーヴさんが戻ってくるまで自分の名前を考える事にした。
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後書き
主人公がもし名前にこだわりが無く「コリンナ・ブリンドル」をそのまま使うのと使わないのとでは今後に良い意味でも悪い意味でも若干影響が出てきます。
そして主人公が元の世界に帰りたがっていないのはそもそも元の世界に帰りたがらない人を召喚しているからです。
要するに聖人としての資質が有り元の世界で退屈を感じていてこの世界に召喚されても元の世界に帰りたがらない人が選ばれているという訳です。
ちなみにステータス自体は本物で地上の民に限定で魔法が禁止されている科学の世界にいた為本人は分からなかったのですが魔法が使える世界に来て本来のステータスが解放されたという感じです。
まぁ本来のステータスといっても一切修練を積んでいないので完全に「資質」の状態でこれから本人が伸ばす必要が有ります。