[R15] 優しく俺様系で女が好きな天才新社会人、異世界を救う (JP) – 1章 3節 5話 幼馴染の女神 – デスゲーム (優美華の視点)


前書き

青年男性向け – ソフト – R15

第3節 幼馴染 (第1章 勇者の村)

第 5 / 19 話

約 6,400 字 – 8 場面 (各平均 約 800 字)


1/8.「ここは一体どこなの……!?」

少女は突然自分が光に包まれたかと思うと何かの会場らしき場所に立っておりその場には自分以外にも突然飛ばされてきたと思われる人達がたくさんおり戸惑いと怒りの声で溢れていた。

「え……!?ここは一体どこなの……!?」

「どこのTV番組のドッキリ企画だよ……!カメラはどこ……?」

「あ、やっぱりダメだ。電波が来てない」

「あたしこれからバイトなんだけど……!早く帰らせてよ……!」

「運営の奴聞いてんのか……?誰だか知らねぇけど俺は忙しいんだよ……!早く帰らせろ……!」

人がいっぱい……怖い……。

少女は極度のトラウマによる失語症であり対人恐怖症でもあり広場恐怖症でもあってこの状況に恐怖を感じその場に体育座りで塞ぎ込むようにして座り込んでしまった。

ママ……パパ……助けて……。

少女がそう思っていると――。

「そこの体育座りしているお嬢さん、どこか具合でも悪いのかい?」

え……?

――誰かから話し掛けられ体育座りをしているのは自分だけだろうし話し掛けられているのは自分なのではないか?と思い顔を上げて声がする方を見ると――。

「お体は大丈夫?」

――顔を見て優しい人かもしれないと思うもやっぱり怖くて急な事で驚いていたのも有り声が出ないながらも頷いて体調が悪い訳ではない事を伝えようとした。


2/8.「じゃあ『』を感じてるって感じなのかい?」

「お体が大丈夫なのは良かった。じゃあ突然変な所に連れてこられて戸惑っているし恐怖を感じてるって感じなのかい?」

それを聞き少女は再び頷いた。

「僕も辛いよ。無事に大学を卒業したばかりなのにこんな変な事に巻き込まれちゃったんだよ?」

裕太は笑いながらそう言うが少女はそう言われても何と返事をしたら良いか分からなかった。

「辛かったら無理に返事をしなくて大丈夫だからね。ところでほら、これ見てみてよ。マグカップだけど飲んでいる途中にこんな変な所に飛ばされてきちゃったんだよ?」

裕太はまた笑いながらマグカップの話をするが少女は全く余裕が無く愛想笑いすら出来なかった。

「ところでもし君が良ければ僕が君の事を守ってあげるから僕を君の側にいさせてくれないかい?」

……ど、どういう事……?

少女は「守ってあげるから傍にいさせてほしい」という裕太の言っている事の理屈やその申し出の裕太のメリットが全く分からず困惑したものの優しい人だろうし守ってくれるのは助かるという思いでコクりと頷いた。

「やった!ありがとう!ちなみにもちろんノーギャラで頑張るから安心してね。ところで僕の名前は大澤 裕太。ちなみにちなみに大澤グループの社長で大澤財閥の当主なんだよ?凄いでしょ!よろしくね!」

この人には何の得も無いのにどうしてそんなに嬉しそうなの……?

少女は裕太の考えが理解出来なかったが自己紹介に応じる様に再びコクリと頷いた。

そして裕太は自分も少女の隣に座ろうと思い――。

「ところで君の隣に僕も座っても良いかい?」

――自分も座っても良いか訊くと――。

うん……。

――少女は許可する様にコクリと頷き――。

「ありがとう」

――裕太は少女に感謝し右隣に座った。


3/8.*「まぁさてと、『』としようか!☆」*

そしてその様子を見ていたクロノスは――。

*「いや良いねぇ、アベル君!☆いや、裕太君!☆伝説の勇者は本当に実在したって事かなぁ~?☆――まぁさてと、デスゲームを始めるとしようか!☆」*

――眉唾(まゆつば)だと思っていた勇者物語が本当だったのではないかとその片鱗(へんりん)を見て感心しそしてデスゲームの開始を宣言しようとし――。

「レディースエンジェントルメン!☆今宵は、まぁ別に夜ではないんだけど、ボク、クロノスがゲームマスターを務める選ばれた者のみが出場出来るゲームにお集まりいただき誠にありがとうございます!☆」

――魔力モニターに自分を映し来場者挨拶を始めた。

(闇オークションの支配人アーベル君の受け売りだけど!☆)

「なんか始まったね」

裕太が少女を見てそう言った。

そして少女はコクリと頷いた。

「急に何……!?」

「おい……!なんか始まったぞ……!」

「何じゃこりゃ……!」

「え……モニターなんて有ったっけ……」

「手品じゃないのか……?」

「クロノスなんて名前のタレントいたか……?」

「ゲームって何よ……」

「俺こんなイベント聞いた事無いんだけど……」

「何で私が選ばれたの……?」

「集まってねぇよ……!無理矢理連れて来られたんだよ……!早く帰せよ……!」

モニターやその先に映っている人物に対して皆が思い思いのリアクションをしておりクロノスはその者達に向けて――。

「ちなみにボクは神だよ!☆」

――あっさりと自分の正体を明かし――。

「は……!?」

「え……ありえねぇだろ!」

「神だったらここから出してよ……!」

「嘘だろ……神がこんな事する訳ねぇ……!」

――その事で人々はザワついてしまった。


4/8.「『』はどっちでしょ~?☆」

「ねぇ、君達。神に夢見過ぎじゃない?☆神は良い神もいれば悪い神もいるんだよ!☆――さて、ボクはどっちでしょ~?☆」

クロノスは笑顔で問い掛けた。

(ま、ボクは君達に夢見過ぎなんだけどね☆)

「ふざけないでよ……!」

「俺達を家に帰してくれ……!」

「どっちでもいいからバイトが有るんだから帰して……!」

「神だか何だか知らねぇがシバいてやっからここまで下りてこい……!」

人々はクロノスの言った事に戸惑いつつもいくら人間の自分達が束になって掛かったとしても神であるクロノスには勝てないだろうという絶望感からクロノスがもし悪い神だったらどうしようと不安に駆られ始めた。

「じゃ、このゲームの説明をしていくよ~!☆――このゲームに勝った人は~何と~ジャガジャガジャガジャガ、ジャガジャガジャガジャガジャン!――神になれます!☆」

クロノスがゲームの優勝賞品を明かした。

「か、神になれるの……!?」

「おいマジかよ……!すげぇ……!」

「神になれなくてもいいからお願いだからバイト行かせてよ……!」

「嘘吐きやがって……!神になれる訳ねぇだろ……!シバキ回してやっからはよここまで下りてこんかい……!」

人々は概(おおむ)ね驚いている者、興味が無く帰りたい者、怒っている者、冷静に状況を見極めている者の4者に分かれていた。

「ゲームはいたって簡単、君達はプレイヤー、ボクは神でゲームマスター☆そしてプレイヤーの君達は優勝目指して頑張ってろう……!☆以上……!☆」

クロノスがそう言うとプツリとモニターが切れてしまった。

「え……!?説明ってそれだけ……!?」

「おい……!全然説明になってねぇぞ……!」

「もう何でもいいから早くバイトに行かせてよ……!私クビになっちゃうよ……!」

「この野郎……!おうおう上等じゃねぇか……!見付けたらシバキ回してやんよ……!」

プレイヤー達はそれぞれクロノスの説明不足や逃げられない状況である事、また何をさせられるだろうという事に戸惑いや憤(いきどお)りを覚えていた。


5/8.「ねぇ、優勝したら『』になれるんだって」

そしてクロノスの説明が終わると裕太は――

「ねぇ、優勝したら神様になれるんだって。凄いよね」

――少女に優しくそう話し掛けた。

うん……凄い……。

そして少女は無言ながら頷いた。

「君は神様になりたい?」

裕太がそう問い掛けると――

ううん。

少女は首を左右に振った。

「君は神様にはなりたくないんだね。でも僕だったら神様になりたいかもしれない。っていうのももし僕が神様になれたらみんなが幸せに生きられる世界を作りたいなって」

みんなが幸せに生きられる世界……。

*「あんたなんか産むんじゃなかった……!」*

*「家族が崩壊したのはお前のせいだ……!」*

*「あんた気味が悪過ぎるよ……!もう施設に行っとくれ……!」*

*「キモいんだけど……私達と同じ空気吸わないでくれる……?」*

*「もう学校来ないでよ……!」*

キャアアアアア……!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……!

少女は自分の辛い過去を思い出し顔を伏せ泣き出してしまった。


6/8.「今までの『』が辛かったのかい?」

「今までの自分の人生が辛かったのかい?」

裕太は少女が「幸せに生きられる世界」に反応して自分の辛かった過去を思い出し泣き出してしまったのだろうと推察しそう訊いた。

うん……。

少女はコクりと頷いた。

「僕は超絶お金持ちでね、ここから出られたら君が欲しい物とか何でもい~っぱい買ってあげるから、とりあえず今はこのゲームを勝ち抜く事を一緒に考えよう?」

うん……。

少女はコクリと頷いた。

「ところで僕としてはとりあえず君の事を君呼ばわりするのは気が引けるから君の事をちゃんと名前で呼んであげたいんだよね。だから君の名前を知りたいんだけど声を出して僕に伝えられそうかい?」

裕太は少女の事を名前で呼ぶ為にもその名前を知りたかった。

しかし少女は首を左右に振った。

「そっかぁ……なら仮の名前だけど僕が君の事を名前で呼べる様に名前を名付けてみても良いかい?」

裕太は少女の事を名前で呼ぶ為にもその名前を知りたかった。

うん……。

少女はコクりと頷いた。

「じゃあそうだなぁ。――ところで僕はね、君はとっても優しい子だと思うんだ。だからこそ優しさが無くて容赦無くて酷い世界に打ちひしがれてしまったと思うんだよね。でもそれは君のせいじゃなくて、悪いのは優しい君に優しくなれなかった人達なんだと思ってるんだ。それでね、君は優しくて美人だし可憐に咲く希少な花の様だと思うから、『優しい』から『優』、『美しい』から『美』、最後は『お花』の『花』だけど、希少で高潔という意味を持たせて難しい方の漢字の『華』で『優美華』でどうかい?――僕は君にその名前を胸に新たな人生を歩んでほしいと思ってる。――お金とか仕事とかそういうのは僕が全面的にバックアップするから」

裕太は少女に今までの辛い人生を捨て新たな人生を歩んでほしくてそう言った。

うん……。

そしてその少女は「うん」と伝えるようにコクリと頷くと、「ありがとう」を伝えるように涙ぐみながらも微笑んだ。


7/8.「『』してきちゃったよ!」

「いやぁ、素晴らしいね裕太君は!☆魔法が無い世界でも立派に勇者をやっているとはねぇ!☆ボク、ゾクゾクしてきちゃったよ!☆」

クロノスはモニターから裕太が優美華に優しく接している様子を見てゾクゾクしていた。

というのも会場中はいまだに混乱が続いており自分の事しか考えていない多くのプレイヤー達の中でひと際輝いて見える裕太と優美華の優しい空間にクロノスは目が釘付けになっていた。

「じゃあスタートで!」

クロノスは自分に仕えている天使に開始を指示した。

「はい、かしこまりました」

天使はそう言ってお辞儀し――。

「それではプレイヤーの皆様、ステージにお進みください。『デスゲーム、ファーストステージ。生きて出られるかな?ワクワク大迷宮』スタートです」

――ガイドを読みながらゲーム開始を宣言した。

するとガッガッガッガッと大きな扉が開いた。

「え……!?何……!?」

「次のステージって何だよ……!それに俺はまだプレイヤーになるって言ってねぇぞ……!」

「今デスゲームって言った……!?デスゲームって言ってなかった……!?」

「ファーストステージって……何ステージまで有るんだよ……!」

「めっちゃ怖いんだけど……!しかも『生きて出られるかな?』って何……?死ぬの……?」

「『ワクワク大迷宮』って何だよ……!ふざけてんのか……?」

「もうバイトに行かせてよー……!ウェーン……!」

「上等だぜ……!俺様が優勝して神になってやらぁ……!」

「全く……度し難いな……」

眼鏡を指でチャカっと整えてはヤレヤレとやる気を出し――。

「あら、楽しみね」

――大層余裕そうに優勝の座を目指す者もいる中で――。

プレイヤー達は無理矢理ながらも突然始まった「優勝者が神になれるデスゲーム」に参加させられていった。


8/8.「僕が必ず『』せてあげるからね」

「最初のステージは迷宮なんだって。他のプレイヤーとの協力が出来ないゲームじゃなくて良かったよ。これからよろしくね、優美華さん。僕が必ずここから生きて帰らせてあげるからね」

裕太は優美華を必ずここから生きて帰らせてあげるつもりでいた。

うん……よろしく……。

少女はコクリと頷いた。

そして裕太は優美華が犯罪に巻き込まれてしまわない様に――。

「出来れば僕と手を繋いで僕の側にいてほしい。もちろん無理に僕と手を繋がなくても大丈夫だからね」

――優美華へ優しく左手を差し出した。

繋ぐ……。

優美華はコクリと頷くと対人恐怖症ながらも頑張って異性の裕太の手を取った。

優しいこの人となら私は本当に生きて帰れるかも……。

*「ボクはアベルなら絶対に弱者を見捨てないと思っていたよ!☆さて、その化けの皮がいつまで持つか楽しみだねぇ!☆最後にはと~っておきのサプライズも用意してるんだから、あっさりと死んじゃったりしてボクをガッカリさせないでね!☆――チュッ♡」*

クロノスは魔力モニターに映る裕太の顔にキスした。

*(……)*

その一方で司会を務めている天使は暗い表情のままだった。

かくして手を取り合った失語症の優美華とナイト様な裕太は共に生きて脱出する為このデスゲームへと挑んでいったのだった。


後書き

集められた者達は例え前世が60代や70代の教授だったとしてもクロノスにより若返らされ記憶と経験はそのままで10代後半から20代の容姿と身体能力に収まっています。

また集められた者達は大きく分けて頭脳系、身体能力系、特殊スキル系の3つに分けられておりもちろん全てにおいて優れている者もいます。

もちろん冷静な者、学者系、学級委員長系、スポーツ系、陽気な者、陰気な者、オタク系、軍人系、暴力的な者などと多種多様になっています。