[R15] 女性を愛する天才の俺様、異世界を救う (JP) – 1章 2節 1話*異世界の女神

目次

前書き

ついに新節突入です!

R15

第2節 異世界の女神(第1章 勇者の村)

第 1 / 25 話

<やってきた>

 俺はアンによりテレポートされアンの異世界の友達の女神様がいる亜空間へとやってきた。

 そして俺は透かさずポケットの中に手を入れたり辺りを見渡して異世界召喚特典とやらのお金の入った巾着を探してみたがそれはどこにも見当たらなかった。

 おそらく女神の亜空間に来ただけでは異世界に召喚されたという判定にはならないのだろう。

 アンが言うには言語については例えテレポート先が亜空間だったとしてもこの世界に渡った時点で誰でもこの世界の言語を話せる様になっているそうだ。

 一見非常に便利で親切なサポートに思えるがどの様なケースであったとしても言語の壁が無くなるというのはそれだけ争いや戦争に発展しやすいのだろうと俺は考えている。

 というのも侵略者が言葉の通じる先住民と通じない先住民、どちらを侵略したいかは誰でも考えれば自ずと分かるだろう?

 それがこの世界を過酷にしている要因の一つだと俺は考えている。

 もしそれをこの世界が推奨というか起こり得る様にしているのだとしたらこの世界の言語はおそらくその一つしかない。

*(よく分かってるじゃねぇか!おもしれぇ!マナリスをホルダーに接触させて正解だったぜぇ!やっぱりだちって作っておくもんだなぁ!)*

 それを証明する様に日本語と英語の話者が頭の中で日本語と英語しか思い浮かんでこない様に俺も自分の頭の中で元いた世界の言語と異世界語と思われるその言語しか思い浮かんでこないのだ。

 さらにこの言語の仕組みは一惑星の神の範疇を超えていると思う。

 つまりこれはこの世界の神の意思なのだろう。

 という事はこの言語が一つというのはこの世界の宇宙全域で起こっていると考えて差し支えない。

 それにアンの友達の星の文明レベルは中世の様だが他の全ての星も文明レベルが中世とは限らない。

 つまり先に宇宙に進出している文明があってもおかしくないという事だ。

 それもたくさんがだ。

 俺がこの星を平和的に統一した途端かある程度文明レベルが進んだ途端に銀河帝国ものが始まったらさすがに笑っちゃうね。

 そんな銀河帝国には未開惑星保護法という様な法律がありそうだ。

 未開惑星でなくなった途端にその保護が解除されてこの星が銀河帝国に加わっちゃったりしてね。

 まぁそんな事を考えていたがテレポート先は中世のお屋敷の中といった様子で一見亜空間とは分からない。

 室温は快適であり室内は美しく洗練されどこか可愛らしい趣が有った。

 広間の向こうにはベッドが有りそこで女神様らしきお方が仰向けに横になっていた。

 窓ガラスの向こう側にはおそらく天気は快晴で小鳥が囀っていそうな緑美しい洋風の庭が広がっていた。

 アンは事情があり友達とは一緒に居られないからと言って付いて来なかった。

 念話で既に俺が行く事は伝えてあるからアポイントメントの方は安心してほしいとの事だった。

<と申します……>

 そして俺がベッドに近づくと――。

「アンさんからお話はお聞きしております……ユウタ・オオサワ様、わたくしの世界にお越し下さりありがとうございます……ごほんごほん……お初にお目に掛かります……わたくしはこの世界の女神マナリスと申します……」

 ――女神マナリス様が背中を起こし俺に顔を向けて話し掛けてきた。

 この世界の名前は元いた世界の欧米圏の人の名前の様にファーストネームが先で姓が後の様だ。

 それにしても人間に敬語を使うとは何とも丁寧な女神様だ。

 しかも俺に様呼びって……。

 どこぞの女神は初っ端からため口だったからな。

 まぁアンの事なのだが。

<勇者として参りました>

「こちらこそお初にお目に掛かります、女神マナリス様。左様でございまして、私の名前はユウタ・オオサワと申します。姓がオオサワでファーストネームがユウタでございます。アンにお願いされこの世界に勇者として参りました」

 俺も女神マナリス様に自己紹介した。

 しかし実に新鮮だな。

 というのも多くの場合自己紹介を先にするのが立場が上であり後にするのが下なのだ。

 なぜなら場を支配している方が先に口を開いて話を進めるからな。

 アンに会うまでは俺は最早敵無しだったので当然俺が先に口を開き場を支配していたものだが相手が女神様となると先輩や上司に進行を任せる後輩や部下の気分にならざるを得ない。

「ふふ♡お越し下さりありがとうございます」

 しかし本当に礼儀正しいな。

 最初に「初めまして」を言えなかったどこぞの女神とは大違いだぞ。

「ふふ♡」

 それに笑顔も爽やかで凄いな。

 癒し系の権化みたいだ。

 とりあえず例の物をここらで渡しておくか。

<託されている物がございまして>

「女神マナリス様、アンからお渡しする様にと託されている物がございまして、それがこちらなのですが……」

 俺は女神マナリス様にアンから託されている物を見せた。

 それにしても大変恐縮だ。

 託されている物を渡すだけでも一苦労だな。

 裕太は女神の威厳がたっぷりの女神マナリスに気圧されていた。

 その気圧とはアンの時にも抱いていた格上の存在に対する恐れだった。

 嫌われたら終わりだからな。

「ふふ♡ユウタ様が持ってきてくださったのですね。ありがとうございます。それではわたくしが受け取らせていただきますね」

 俺がアンから預かっていた神族用のマナポーションを女神マナリス様が受け取ってくれた。

 こちらこそ受け取ってくださってありがとうございます、だ。

「ふふ♡」

 それにしても異世界の女神様の「マナリス」という名は「マナポーション」という物が有る事からも魔法がある世界の「マナ」からきているのではないかと思った。

 それにしてもだ。

 この異世界の言語にも複数の一人称や敬語という概念が存在しているのだ。

 これは要するにこの世界の言語は数多の世界からの来訪が有る事を想定しているかあるいはあちこちから好ましいと思った要素を取り込んで最大公約数的に言語の構築をしているという事なのではないかと思った。

 そしてありがたい事に俺が大好きな一人称「俺様」も使えそうなのだ。

 いやはや非常に助かる事この上無い。

「はい。どうぞお受け取り下さい」

 女神マナリス様が凄まじい笑顔を見せ付けてくるので俺もそれには及ばないもののそれなりの笑顔を返した。

<よろしいでしょうか?>

「ユウタ様、ありがとうございます……それでは早速飲ませていただいてもよろしいでしょうか?」

 俺に飲んでも良いか訊かなくてもマナリス様は女神なんだからぐびぐびっと飲み始めちゃって良いのに。

 もちろん俺の返事はOKだ。

「どうぞ。お急ぎにならずにご自分のペースでお飲みください」

 俺は5分でも10分でも待つぞ!

 まぁそれ以上はさすがにきついかもしれないが。

 相手は何と言っても女神様だしな。

「ご親切にありがとうございます。それでは早速飲ませていただきますね」

 女神マナリス様はマナポーションの蓋をぽん!と開けるとごくっごくっと少しずつ飲んでいった。

 しかしほんと礼儀正しい女神様だよなぁ。

 アンだったら相手に何の断りも入れずに「早速飲むわよ!」とか言ってぐびぐびぐびとあっという間に飲み干してしまいそうだが。

<ご馳走様でした>

「ご馳走様でした。――ユウタ様お待たせいたしました。お待ちくださりありがとうございます」

 女神マナリス様はマナポーションを飲み干すと蓋をしボトルスタンドに入れると飲み終えるのを待っていた俺に感謝してきた。

 それに飲んでいる途中からどんどん元気になっていっている様な気がした。

「いえ。当然の事でございますので」

 人間でゲストの立場の俺に目の前に居るこの世界の女神様を急かせられる要素は一つも無い。

「ふふ♡ユウタ様はお優しいですね」

 いやいやいや、早くしろよ!って心の中で思っちゃったり顔に出ちゃう様な真似が俺には出来ないだけですって。

 まぁ俺が優しいのは自覚しているので否定はしない。

「マナリス様こそ人間如きの私に確認を取ってくださったり感謝までしてくださって畏れ多い事この上有りません」

 これはもちろん本心だ。

 畏れ多過ぎる。

 社長室あるいは会長室に行ったら社長あるいは会長から様呼びで超丁寧に応接されたら畏れ多いだろう?

 え、自分如きに社長や会長が様呼びで堅苦しい敬語を?ってね。

 まぁどこぞの女神みたいにいきなりため口で対応されるのも気分が悪い。

 となればやはり間を取って「さん付けノーマル敬語」がベストだと思うのだ。

<謙遜なさらないでください>

「ユウタ様、どうか謙遜なさらないでください。勇者様なのですから。それとユウタ様、どうか堅苦しい敬語をお使いにならないでくださいませ」

 謙遜ねぇ。

 勇者様と言ったって俺はまだ正式に女神マナリス様の勇者にしてもらえた訳ではないし実績だってゼロだしな。

 てかいくら勇者として実績を積んだってこの目の前に居る女神様には到底敵う気がしない。

 それに俺だって女神様に人間如きの俺に堅苦しい敬語を使わないでほしいのだが……。

「女神マナリス様、分かりました。しかし女神マナリス様も私に対してその様な敬語や様呼びをする必要は無いのですよ?」

 アンにはすぐに切り替えられたのだが女神マナリス様の場合は女神の御威光がアンとは比較にならないくらい凄まじいのでそんな存在に対してノーマルの敬語を使うのは非常に心苦しい。

「でしたらお互いに過度な敬語は避け呼称はファーストネームにさん付けでどうですか?」

 その解にマナリスさんが自ら辿り着いてくれて助かる事この上無い。

「はい。それでよろしくお願いします」

 てか超気が利くな。

 女性側からその解に辿り着いてくれたのって久しぶりだぞ。

 先生とかその時以来だ。

<お出ししますね>

「ふふ♡それでは今からわたくしがお茶とお菓子をお出ししますね」

 いやいやいや、無理をしないでほしいのだが。

「マナリスさん、お茶とお菓子は私が出しますのでゆっくり出来る姿勢のまま私に指示してください」

 俺は非常に弱って辛そうにしているマナリスさんに代わりメイドの仕事を買って出ている。

 今は俺がマナリスさんの手足になるしか無いのだ。

「ありがとうございます、ユウタさん」

 俺は思った。

 この女神様の世界は今大変な事になっている様だがそれはきっとこの女神様がお人好し過ぎたからなのだろう、と。

 そして人の良い女神様の為に頑張ろう、と。

<と言っていました>

 という訳で俺は早速本題に入ろうとし――。

「アンはあちらの世界のルールで詳しい事は自分から話す事が出来ない為詳しい事はマナリスさんから聞く様にと言っていました」

 ――切り出した。

「はい。その通りです。しかしこの世界のルールでわたくしが答えられる事にも限りが有るのですが、わたくしは精一杯答えるつもりですので何でもお尋ねください」

 やっぱり情報規制が厳しいねぇ。

 まぁそう言ってくれるのならとりあえず訊いてみようじゃないの。

「分かりました。それでは尋ねますが、マナリスさんがなぜその様に衰弱してしまったのかや、私にこの世界の現状、そしてどの様に救ってほしいのかなどを教えてください」

 俺はマナリスさんに単刀直入に尋ねた。

 そして俺は覚悟を決めて息を呑んだ。

<やり直しています>

「はい。わたくしがアンの代わりにユウタさんにわたくしの事やこの世界の事を話します。この世界は破滅を迎る度にわたくしが時を戻す魔法を使いやり直しています――」

 へぇ。

 時を戻しているのか。

「――現在は前回の行使からまだあまり時間が経っていない為わたくしはまだあまり力を取り戻せておらずこの様にお見苦しい姿をユウタさんに見せてしまっているのです――」

 それがどれだけ凄い事なのかは魔法という理の外の世界から来た俺には全く分からない。

 ただ異世界ものの作品の中で最強クラスのチート持ちの勇者が時戻しの魔法を使っているのを見た事が有るがそれでも世界が壊れかねないからと一部対象に対してだけだった。

 それを世界に対して使うというのはやはり女神様の御業という事なのだろう。

 しかし女神のマナリスさんも疲労困憊の様だ。

「――わたくしの力不足は今に始まった事では有りません。この世界では多くの人が不幸になりその負のエネルギーが世界中を覆っておりその一部がわたくしの本体であるこの惑星のコアにまで届いてくる事でわたくしの心身が共に弱ってしまっているのです――」

 へぇ。

「――人で例えるなら負のエネルギーという名の魔素の中毒に陥っている様なものです。わたくしは負のエネルギーを全く必要としていませんし使いもしませんのでわたくしにとっては毒そのものなのです――」

 そういうものなのかぁ。

 この世界の人々の幸せというのは女神様にとっても死活問題の様だ。

 それに魔素中毒という例えは非常に分かりやすかった。

「――そしてこの世界は悪が跋扈し自浄能力を失っています。人々は悪政や度重なる戦争や数多くの不条理に苦しめられています。そして破滅する未来を迎える事となっているのです。そこでユウタさんには悪をくじき戦争を回避し人々とこの世界を数多くの不条理といずれ迎える破滅の未来から救っていただきたいのです」

 自浄能力を失っていて破滅を迎えちゃうのは大変だな。

 まぁ要するにマナリスさんが俺にしてほしい事は悪党の成敗、負のイベントの阻止、人民の救済といったところか。

<追加で質問しても良いですか?>

「分かりました。さらに追加で質問しても良いですか?」

 情報は非常に大事だ。

 その情報の有無で決断が左右され戦略も大きく変わりかねないからな。

 それにまだ情報が少な過ぎる。

「はい。よろしいですよ」

 うむ。

「それでは訊きますがこの世界の国家や人種、職業、どの様な悪政なのか、宗教、組織、魔法について、ダンジョンについて、人々が幸福になれば女神様の力が増すのか、召喚場所の指定が出来るのか、人々に信託を下せるのか、下ろせるならどの様に下ろす事が出来るのか、悪魔と契約する方法などその他教えられる限りのこの世界の一般教養や私が知っておくべき事を教えてください」

 俺はマナリスさんにこれだけ知っておけば十分だろうという事を尋ねた。

「はい。それではお答えしますね」

 かくして俺はマナリスさんからたくさんの事を聞いた。

<ありがとうございます>

 そして俺はこの世界の世界観は異世界ものの作品と同じだが悪徳ギルドが跋扈している事、真祖と呼ばれる各種族の先祖にあたる存在が魔王やそれに次ぐ存在として世界のあちこちで猛威を振るっている事、召喚場所の指定や信託が可能な事、悪魔との契約方法などその他たくさんの事が分かった。

「答えてくれてありがとうございます」

 マナリスさんが話し終えると俺はマナリスさんに感謝した。

 この感謝には俺がマナリスさんに長い質問をしてしまっている事と同じく長い返事をさせてしまっている事への申し訳無さが有った。

「他にも気になる事や知りたい事が有れば何でもお尋ねくださいね」

 マナリスさんは微笑んでくれた。

 やばい。

 女神過ぎる。

 裕太はマナリスさんのあまりの女神っぷりに気圧されていた。

「はい。そうしますね」

 まぁ大体の事はもう分かった。

 後は俺の戦略が実現可能かどうかと肝心の俺がマナリスさんの勇者にしてもらえるかどうかが知りたいというところなのだが。

<一番重要な情報>

 しかしそれにしてもだ。

 マナリスさんから聞いた話の中で俺にとって一番重要な情報はおそらく悪魔についてだったのは間違い無い。

「あの、ユウタさん。どうして悪魔との契約方法についてをお尋ねになったのですか?」

 俺はマナリスさんから質問の意図を尋ねられた。

 まぁマナリスさんが不思議に思うのも無理は無いだろう。

 悪魔とは人の悪感情を糧とする種族で女神様や人の幸福感情を糧とする天使族とは真っ向から敵対する存在のはずだからな。

 しかし俺による世界救済には使役する悪魔の存在が必要不可欠なのだ。

 というのも俺は咎人を簡単に更生出来るとは考えていない。

 おそらく世界を破滅から救うには咎人すら殺してはいけないのだろうと考えている。

 アンが今までに送り込んできたという数々の勇者達を退けてきたこの世界の難易度の高さを舐めてはいけない。

 咎人を安易に処刑するだけで世界が平和になるのなら俺以前に挑戦した勇者が成功していてもおかしくないからな。

 それに悪人の考えそうな事は色々と思い付く。

 例えば咎人を一人でも処刑すればそれが勇者のする事か!と世論を誘導するのだ。

 ライバルの闇ギルドの仕業だとか俺がその手先だとか声高々に叫ばれるかもしれない。

 聖教会を敵に回せば人民を不幸にする悪魔だとか魔王だとかな。

 いずれにせよ敵に付け入る隙を少しも与えてはいけないのだ。

<殺すつもりは無いのです>

「私は咎人が簡単に更生出来るとは考えていません。更生していない咎人は反省している振りをして口八丁でその場から言い逃れようとし善人を騙そうとするに違い有りません。しかし私は咎人すら更生の余地が有るのならば殺すつもりは無いのです」

 やはり手を汚さない事が最大のイメージ戦略だと思うのだ。

「咎人すら一人も死なせないと?」

 もちろんだ。

<教えていただけませんか?>

「はい。そこで私は悪感情を糧とする悪魔、それも大悪魔に咎人への刑罰執行を担ってもらいたいのです。咎人が二度と悪行を行おうとは思わない程に、その恐怖を植え付けられる程に。ですのでまだ誰とも契約していない真祖級の大悪魔が居ましたらその存在についてを私に教えていただけませんか?」

 俺は今女神様に世界を救う為には敵対している悪魔が必要だと説いている。

 何とも皮肉な事だ。

 ちなみに自分で探そうと思っていたのだが質問するにはちょうど良いタイミングかと思い尋ねてみたのだった。

<容易に近付く事は出来ません>

「誰とも契約していない真祖の女悪魔ならいます。しかしユウタさんが彼女と契約出来るかは分かりませんしさらに彼女はSSSランクの魔獣エリア、魔獣エリアとは人間の生息地の外にある魔獣の生息地の事で円形のフィールドダンジョンの事ですがその中心に有るダンジョンコアに封印されており容易に近付く事は出来ません」

 居るのならラッキーじゃないか。

 とりあえず取っ掛かりが出来たのだ。

 で、ランクについてはS二つで魔王級、S三つで魔神級なのだそうだがまぁ問題無いだろう。

「あの、ユウタさん。Aランクの冒険者パーティーでもSランク相当の外縁程度までしか侵入出来ない程の強力な魔獣がたくさん居るのですよ?」

 分かっているぞ。

「はい。分かっています」

*(おや、行くつもりか?)*

<と推定されているのですよ?>

「あの、ユウタさん。ダンジョンについてもう一度お話ししますがフィールドダンジョンはダンジョンコアを中心に円形に形成され外縁から中心地に向かって魔素が濃くなるにつれて魔獣達は強くなっていき中心地にはダンジョンコアを守る守護者が居るのです。そしてあのダンジョンは現在誰も踏破しておりませんのでランクを外縁の魔獣のランクからしか推定する事が出来ず外縁の魔獣ですらSランクですから内縁がSSランク、そしてその中心がSSSランクと推定されているのですよ?」

 フィールドダンジョンとはこの世界の人々に食料をもたらすこの世界の仕掛けでダンジョンの神がやっている様であり何でもダンジョンコアを手にするとそのコアの価値に応じてそのレベルの報酬が貰えたり願いが叶ったりする様なのだ。

 それにちゃんと危険な事ぐらい分かっているぞ。

「はい。分かっています」

 まぁどうせ強くならなければいけないのだからいずれ絶対に行かなければいけないダンジョンだ。

 で、そこでお目当ての女悪魔が手に入るのなら一石二鳥、しかも願いが叶うのなら一石三鳥なのだが、俺の予想が正しければそのレベルじゃない。

 もはや勝ち確まで有る。

<必要が有るのですよ?>

「あの、Aランクの魔獣を討伐出来るのはAランククラスの冒険者やパーティーを組んだBランクの冒険者達、あるいはCランクの冒険者100名なのですが、そのAランクの冒険者ですら人種族の国々には多くはいませんしSランクの魔獣を討伐するにはSランクの冒険者が挑むかAランクの冒険者達がパーティーを組むか、あるいはBランクの冒険者100名かCランクの冒険者1000名で挑む必要が有るのですよ?」

 もちろん分かっている。

 それにしてもマナリスさんは俺の認識が甘いとでも思っているのだろうか。

「はい。分かっています」

 めちゃくちゃ理解してるんだなぁこれが。

 俺はその上で勝算があると思っている。

 むしろそれを望んでいるまで有る。

<組まなければならないのですよ?>

「ですからSSランクの魔獣を倒すにはSランクの勇者級の者達でパーティーを組まなければならず、SSSランクの魔獣を倒すには史上稀に到達するSSランクの勇者がしかも複数でパーティーを組まなければならないのですよ?」

 分かっているぞ。

「いずれ行くつもりなら止めません」

 それは助かるな。

*(行け!行っちまえ!)*

 でもまぁ行くとは一度も言っていないのだが。

(ふぅ……)

<ではありませんか?>

 でだ。

 気になるのはその女悪魔が何故封印されたのか?だ。

「その封印されている女悪魔はじゃじゃ馬で誰にも靡かず時の権力者達とも契約しようとせずに恨まれて真祖級だった彼女は他の真祖級の悪魔達にとっても厄介な存在だったのもありそこに封印されたのではありませんか?」

 まぁ俺も群れるのが苦手なタイプではある。

 他人は操る事は出来ないしいつ裏切られるかも分からない。

 それに共同で何かをするとしても意見が対立すればそれがきっかけで仲が悪くなってしまうかもしれないのだ。

 会社の経営だって誰かと共同でやる場合のトラブルはおそらく世界規模で尽きないだろう。

 金の切れ目が縁の切れ目というリスクもある。

 俺はそんな不確定要素を抱えるリスクは避けたい。

 だからこそ俺は大切にしたい人間関係をビジネスなどの場に持ち込まない様にしている。

 それも有ってか俺は何かをする時は大抵一人だ。

 俺は誰にも迷惑を掛けたくないのだ。

 そんなんだから俺は恋愛関係に発展出来る異性としか付き合いがないのかもしれない。

 少なくとも恋愛関係があればそれが無いよりも信用出来るのだ。

「そうなのです。よくお分かりになりましたね」

 やはりそうだったか。

 逆にそれ以外の理由で封印される訳が思い浮かばない。

 真祖級の女の大悪魔など利用価値しか無いだろう。

<これも私の推測なのですが>

「これも私の推測なのですがその真祖の女悪魔を滅ぼす事も出来ず最終的にダンジョン攻略者への報酬というかたちでダンジョンコアに封じ込めたのではありませんか?」

 報酬に設定し誰も攻略出来ないような難易度にしてしまえば実質永久に閉じ込める事が出来るのだ。

 正にダンジョンというシステムを逆手に取った封印方法と言える。

「はい。その通りです」

 やはりな。

<という事ではありませんか?>

 そして俺は続けて――。

「それでその女悪魔を取り込んだダンジョンコアは力を増しSSSランクのダンジョンになってしまいそれは彼女と敵対している悪魔としても誰にも容易に攻略される心配が無くむしろ望むところという事ではありませんか?」

 それにこれは悪人の思考の想像だが「使えないなら消してしまえ」と悪人なら考えるだろうからな。

「アンさんがユウタさんを選んだ理由がよく分かりました。全く以ってその通りなのです」

 という事はだ。

<に有るのでしょう?>

「という事はそのフィールドダンジョンは人間側に有るのでしょう?魔族側のフィールドダンジョンに封印してどこぞの魔族にその封印を解かれてしまったら大変な事になってしまいますからね。それにその真祖の女悪魔を取り込んだことで生み出されたハイランクの魔獣達に襲撃されるリスクだって減らしたいはずです」

 俺が思考をここまで披露しているのは勇者にしてもらう為にも有能だと思ってもらいたいからだ。

「そうなのです」

 よし。

<余力は周辺のどの国にも無いでしょう>

「そしてそれを防ぐ為にも人間側のダンジョンに封印したはずでその場所はどの国にも属していないのではありませんか?領有権を主張すれば責任が発生し管理する為にハイランクの魔獣達を定期的に討伐しなければならなくなるからです。そんな余力は周辺のどの国にも無いでしょう」

 責任を持ってそれが出来るお人好しの為政者が居ればこんな事にはなっていないだろうからな。

「はい。正解です」

 だよな。

<結託している証拠かと>

「それにどの国にも領有されていないというのであればそれがその周辺の裏の支配者達が結託している証拠かと」

 という様に考えられるのだ。

「もはや脱帽です。全く以ってその通りなのです。わたくしがユウタさんを様呼びしたいくらいです」

 様呼びは困るが人間側でしかも誰も好き好んで近付かないだろう超高ランクダンジョンに件の女悪魔が封印されているというのは俺にとって都合が良い事この上無い。

<そうであれば話は早いです>

 もう絶対行くね。

 てか今すぐに行きたい気分だ。

「そうであれば話は早いです。私をマナリスさんの勇者にして行く際には私をそのダンジョンと周辺にある町のちょうど中間のあたりに召喚してください」

 それくらいの事はさせてもらえるだろう。

<本気でおっしゃっているのですか?>

「ユウタさん!本気でおっしゃっているのですか?」

 本気です。

「最悪でもBランクの冒険者パーティーと魔素中毒を治療する為の回復魔法士をその町に派遣して私もそこに召喚してくださるだけでもありがたいです」

 時間との勝負だろうからな。

 露出を避けるためにも現地に直接召喚される方が良いだろう。

 俺の召喚先は決まったも同然だ。

「ユウタさん!その周辺ですらAランクの魔獣がたくさんいるのですよ?それにユウタさんのお体はまだ魔素になれていないはずです!そのお体の状態で魔素が濃い地域に赴けば魔素中毒症に侵され大変苦しい思いをするばかりか最悪死んでしまうのですよ?」

 大丈夫だ。

 気合で何とかする。

「死なないのなら大丈夫ですよ」

 最悪死ぬらしいが最悪の事が起こらない前提で考える。

 俺はもう気合で何とかするつもりだからな。

「ユウタさん、わたくしから地上の民に信託を出す事は出来ますが魔獣の脅威や食料の問題も有りいずれにしても早急に周辺の町や村に避難しない限りは一日と持ちませんよ?」

<誘導してほしいのです>

 大丈夫だ。

 てか俺にとっては魔素が濃いエリアは危険性よりむしろ魅力の方が勝っている。

「大丈夫です。任せてください。私の世界救済計画としては手始めに私がマナリスさんにより異世界の地に召喚されたら件のダンジョンと町の中間に冒険者の村に偽装した勇者の村を作ります。マナリスさんにはその為に必要な人材を召喚する前に信託を下ろして誘導してほしいのです」

 サポートが受けられるのなら受けたいが別にそういうのが無くても俺は頑張るつもりだ。

「分かりました。わたくしも女神として勇者様のサポートはちゃんとさせていただきます」

 おや、サポートは受けられるようだ。

<乗り切りたいのです>

「助かります。続きまして招集された人達と合流を果たしたら最初は私は現地の強力な魔素に辛い思いをするかもしれませんが体が慣れるまで回復術士による回復サポートなどで乗り切りたいのです」

 魔素中毒症の経験は無いが回復魔法の使い手がいれば何とかなるだろう。

「分かりました。回復術士を手配させていただきます」

 助かる。

<攻略していきます>

「お願いします。そして体が慣れてきましたら村を興し討伐したハイランクの魔獣を食し修行も行い肉体、武術、魔術共に強化を図ります。また討伐した魔獣の素材を加工した物や採取した薬草を販売したりして周辺で使用出来る外貨も獲得しそれと並行して人材育成を行い準備が整い次第ダンジョンを攻略していきます」

 俺は強化や外貨獲得のみならず人材育成やダンジョン攻略の計画も立てているのだ。

 まぁまだ続きがあるのだが感想が有るかと思いとりあえずここで区切っておいた。

「可能だと思います。堅実ですね。漂う濃厚な魔素に身を曝し高ランクの魔獣の肉を食す事で強靭な肉体を獲得出来るでしょうしあのダンジョンならば高ランクの宝物や素材も獲得出来るでしょうから外貨も獲得しやすいでしょう」

 うむ。

<執行を任せます>

「そしてダンジョンの攻略報酬として手に入れ封印を解いた真祖の女悪魔を味方にし彼女に咎人の更生と刑罰の執行を任せます」

 強い奴を罰するには同じく強い奴が必要だしな。

「わたくしは悪魔に刑を担わせるという発想が有りませんでした」

 へぇ。

 俺は悪魔が適任だと思うんだけどな。

 なんせ悪魔が看守で監獄が地獄だったら二度と行きたくないだろうしそれで悪さもしないだろうしな。

<仕方の無い事だと思いますよ>

「人格者のマナリスさんが思い付かなくても仕方の無い事だと思いますよ」

 例えば普通の人が「私人逮捕」を知らないだろうしな。

 知らない方が普通の事も有るのだ。

「わたくしが人格者だなんて。ありがとうございます。ですがユウタさんこそ人格者だと思いますよ」

 さぁどうなんだろうな。

<二分の一を治めます>

「お褒めの言葉ありがとうございます。それでは続きを話しますが世界救済の本質は国盗りゲームだと私は考えておりますので私の領地を他の既存の領地をなるべく平和的に吸収する様にして拡大させ最終的に私が作った平和な国家が世界の二分の一を治めます」

 俺の救世方法は要するに俺のテリトリーにして俺の法で統治するという事だ。

 俺がトップなら俺の意思決定で地上の楽園を築けるしな。

(ら、楽園!?や、やはり……!)

「あの、どうして二分の一なのでしょうか?」

 これには当然訳が有る。

「マナリス様が世界全体を統治してほしいとおっしゃるのなら話は別ですし国土は三分の一でも四分の一でも十分の一でも構いません。ただ間違い無く一つの国が世界全体を統治するのは多様性という点で良くないと思うのです。しかし国土が小さ過ぎては諸外国や世界が間違った方向へ進みそうになった時にそれを止められる影響力を発揮させられません。いずれにせよ私の国が世界のリーダーとなる事を目指したいのですがマナリスさんはどう思われますか?」

 俺はマナリスさんの考えを尋ねた。

「さすがユウタさんです。わたくしには盲点でした。一度も考えた事が無かった程です。確かに多様性は大事ですし万が一にも備え大き過ぎず小さ過ぎずの国土にしておくべきなのでしょう。でしたら二分の一を治めてください。ですがわたくしはそこまで気を遣ってくださるユウタさんになら世界全体を統べていただいても構いません」

 という様にマナリスさんから許可を頂いた事だし国土二分の一路線といくか。

「分かりました。という訳でその様にさせていただきます」

 しかしとなると国土予定地のあちこちでかなりの軋轢が生まれる事になるんだよな。

 既存の国家を俺の国で上書きする事になるんだしな。

「はい。しかしユウタさんは国盗りをなさるのですね。という事はやはり血が流れる事は避けられないのでしょうか?」

 お、良い質問だ。

<ごもっともです>

 もちろん俺はその対策もちゃんと考えている。

「マナリスさんの懸念はごもっともです。しかし私はその対策もちゃんと考えております。対人戦では気絶魔法を付与した武具で戦い咎人も出来る限り殺さない事で人命の尊重を図ります」

 つまり少なくとも相手に対しては手加減するし死刑も実施しないという事だ。

 ぶっちゃけ死んだらそこで終わりだろ?

 罪を償わなければならない奴には生き地獄で改心させて社会貢献させた方がよっぽど罪の償いになるだろうしな。

「わたくしとしても人命を尊重してくださるのは助かりますのでその様にお願いします」

 おう。

<いかがでしたか?>

「はい。また私の領地では衣食住のみならず雇用を保障し弱者を救済し奴隷も解放し犯罪も許さないという方針です。という事でして私の方針は以上ですがマナリスさん、いかがでしたか?」

 俺はマナリスさんにこの世界を救済するに当たり俺がしたい事や計画、取りたい方針を話した。

「弱者の救済や奴隷の解放もしてくださるのですね。人命を尊重したいわたくしにはこの上無く助かります。ユウタさんがあの危険なダンジョンに降り立つのは魔素中毒や魔獣の脅威など一歩間違えれば一大事ですが現地の人材によるサポート次第でどうにかなるでしょう。期待できますしユウタさんにわたくしの願いを託したいです。ですからわたくしとしてもぜひ信託を下ろすといった協力をさせてください」

 マナリスさんから俺の計画が実現可能だというお墨付きをもらい俺の中でこの計画は確信へと変わった。

<よろしいですか?>

 そして俺はここで――。

「それでは私をマナリスさんの勇者にしていただけるという事でよろしいですか?」

 ――一番大事な事をマナリスさんに尋ねた。

「はい、もちろんです。わたくしの勇者になってください、ユウタさん」

(でもわたくしは……ユウタさんに報酬の件をお尋ね出来ません……交渉が決裂してしまう事が怖いのです……わたくしはなんて意気地無しで最低の女神なのでしょう……怖くてユウタさんの気持ちをお尋ねする事も出来ないのです……)

 よし!

 やっぱり合格するって最高!

 しかも即刻っていうのが良い。

 普通結果発表というのは試験が大層な程試験日から日数が掛かってしまうものなのだ。

 しかもライバルもいないからな!

 アンに期待されている身分でアンの力も借りて遥々この異世界まで来ておいて現地の女神様との面接で貴方はわたくしの勇者様として不合格です♡ってなったら洒落にならない。

 申し訳無さ過ぎるしな。

 しかしめっちゃ気分が良い!

 というのも俺は意外とパリピな一面があるのだ。

 音楽とか結構好きだしな。

 かくしてマナリスさんの勇者となった俺は元気になりマナリスさんと元気に談笑し仲良くなった。

<で呼び合いたいのです>

 そして俺と女神マナリス様は俺の誘いで女神様のお家でデートをする事となった。

「わたくしは殿方であるユウタさんがさん付けでわたくしの名前を呼んでくださるとユウタさんがわたくしの事を尊重してくださっている様に感じられてとても嬉しいのです。そしてわたくしもその様にユウタさんを尊重したいと考えておりますのでお互いにさん付けで呼び合いたいのです」

 かくして俺とマナリスさんの会話ではお互いに名前を継続して「さん付け」で呼び合う事となった。

<は使わない様にしませんか?>

「わたくしはユウタさんがわたくしに敬語を使ってくださるとユウタさんがわたくしを大切にしてくださっている様に感じられて嬉しいのです。ですが過度な敬語はお互いにとって良くないと思うのです。ですからこれまで通り敬語を維持しつつも過度な敬語は使わない様にしませんか?」

 かくして俺とマナリスさんの会話では敬語を使い続ける事となるもお互いに過度な敬語を使わない事となった。

<の様に感じられるのです>

「わたくしはユウタさんの一人称は「私」が良いです。そしてその一人称を敬語と合わせて使ってくだされば殿方であるユウタさんが王子様で勇者様の様に感じられるのです」

 おや、マナリスさんは王子様系の勇者が好きな様だ。

 かくして俺とマナリスさんの会話では俺の一人称は「僕」となった。

<の様な殿方が好きなのです>

「わたくしは既にユウタさんが知っての通り木偶の坊です。自分の星の管理もままなりません。そんなわたくしを救ってくださる勇者様の様な殿方がわたくしは好きなのです」

 やはりマナリスさんは王子様系の勇者が好きな様だ。

 って事はいつものやつを繰り出すか。

 まぁ敬語化したやつなのだが。

 かくして俺はマナリスさんに「王子様系の勇者様」の様に振る舞う事となった。

<になっていただけませんか?>

 そして俺とマナリスさんのお家デートもクライマックスに差し掛かった。

「私はマナリスさんの事が好きです。マナリスさん、私の恋人になっていただけませんか?」

 俺はマナリスさんに思いを告げる。

「はい♡ユウタさん♡わたくしもユウタさんの事をお慕いしています♡ぜひわたくしをユウタさんの恋人にしてください♡」

 かくして俺とマナリスさんは恋人関係となった。

<いいですか?>

「マナリスさんを抱き締めてもいいですか?」

 俺はマナリスさんを抱き締めたかった。

「ふふ♡もちろんいいですよ♡ユウタさん♡」

 マナリスさんが俺に抱き締める許可をくれたので俺はマナリスさんを甘く優しく抱き締めた。

<にしてもいいですか?>

 そして俺はまた漢気を出したくなってしまい俺の内なる俺様が出てきそうになってしまった。

 そんな訳で俺の一人称や口調がいきなり「俺様」に変わったらマナリスさんを驚かせてしまうと思い――。

「マナリスさん、私は漢気を出そうとするとどうしても一人称も口調も『俺様』になってしまう様なんです。その様な訳で私がこれから言う事の一人称を俺様にしてもいいですか?」

 ――マナリスさんに俺様モードを発動する許可を取ろうとした。

「ふふ♡これからユウタさんが漢気を出して私に何かをおっしゃってくださるのですね♡わたくし楽しみです♡どうぞ遠慮せずにおっしゃってください♡」

 マナリスさんはワクワクしていた。

<愛しているぞ>

 そしてマナリスさんから俺様になる許可を貰った俺は――。

「マナリス、俺様が必ずお前の為にお前の世界を救ってみせるしお前を幸せすると誓う。マナリス、俺様に任せてくれ。愛しているぞ、マナリス」

 ――心置き無く俺様モードを発動した。

 マナリスさんの世界を救いたいという俺の気持ちにもマナリスさんを幸せにしたいという気持ちにも偽りは無い。

「はい♡ユウタさん♡わたくしの世界をお救いくださりわたくしの事も幸せにしてください♡はい♡わたくしはユウタさんに全てお任せします♡わたくしもユウタさんの事を愛しています♡異世界から来られたわたくしの勇者様♡ふふ♡漢気が溢れるユウタさんもわたくしは大好きで愛していますよ♡」

 マナリスさんは実に良い女だ。

 あぁ、俺が死んででもお前の星を救ってやるさ。

 見返りはいらねぇ。

(あぁ♡裕太様が真の勇者様です♡心の底から愛しています♡)

<してもいいですか?>

「マナリスさん、キスしてもいいですか?」

 俺はマナリスさんにキスする許可を取ろうとした。

 俺とマナリスさんは見つめ合った。

「はい♡勿論いいのですよ♡ユウタさんがしたい時にいつでもどこにでもなさってくださいね♡」

 マナリスさんが俺にキスする許可をくれたので俺はマナリスさんの口に甘く優しくキスした。

(わたくしに一つ一つきちんと確認を取ろうとしてくださるユウタさんはなんて紳士的な殿方なのでしょう♡お慕いしています♡ユウタさん♡わたくしの愛しい勇者様♡)

 かくして俺とマナリスさんは熱く長くキスを交わし夜も更けていった。

後書き

マナリスさんはザ・女神という感じです。

そしてそんなマナリスさんの惑星は超大陸であり各地に広大な湖があるものの陸続きで当然戦争が起こりやすくこの世界の神が喜ぶ作りになっています。

で、フィールドダンジョンはダンジョンコアの魔力が強い程広大になる事は作中でも書きましたが件のフィールドダンジョンはSSSランクであり魔神級のダンジョンなのでその威力は凄まじくその周辺にAランクの魔獣を次々に解き放っている非常に迷惑なエリアと化しておりその大きさは地球換算で円形化したカザフスタンくらいあります(笑)

まぁ国境側に出没する魔獣はBランク程度なので各国は何とか対処出来ています。

Bランクの魔獣一体ならCランク(普通)の10名の衛兵の小隊で対処可能ですからね。

というか対処可能な所まで各国は国境を下げたのです。

ちなみに後に明らかになりますがマナリスさんの惑星は本当にろくでもなく終わっています。