[R15] 優しく俺様系で女が好きな天才新社会人、異世界を救う (JP) – 1章 2節 6話 異世界の女神 – 初恋 (マナリスの視点)
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青年男性向け – ソフト – R15
第2節 異世界の女神 (第1章 勇者の村)
第 6 / 28 話
約 4,700 字 – 6 場面 (各平均 約 780 字)
1/6.「お~い、『』行くぞー」
これはわたくしがアンに出会う直前の事です。
「お~い、マナリスぅ。パーティー行くぞー」
世界神カトラス様がわたくしに会いに来ました。
「あ、カトラス様。ところでパーティーはどちら様のでしょうか?」
誰様のパーティーでしょうか。
「あたしのダチだよ!――うん、服装も大丈夫だ!ほら行くよ!!」
という事は魔法の無い世界の女神様のパーティーという事ですね。
「は、はい!!」
いつも正装で良かったです。
「マナリス様、行ってらっしゃいませ」
わたくしに仕える天使ラヴリスがそう言ってお辞儀してくださいました。
「はい。行ってきますね、ラヴリス。お留守番を頼みましたよ」
ラヴリスならわたくしが留守にしている間、わたくしの代わりにこの場所を守ってくれるでしょう。
わたくしにとって一番信頼の置ける天使です。
「お任せください」
ラヴリスはマナリスの言い付けを完璧に実行するつもりだった。
「じゃ、マナリスをちょっくら借りてくわ!」
かくしてカトラス様がわたくしの方に腕を回すと――。
「マナリス様もカトラス様も言ってらっしゃいませ」
――ラブリスに頭を下げられながらわたくしも一緒にテレポートされていきました。2/6.「あらいらっしゃい。来てくれたのね」
そしてテレポートが終わると、そこは神々しく盛大なパーティー会場でした。
「あらいらっしゃい。来てくれたのね」
わたくしの世界の世界神カトラス様の親友で、魔法の無い科学の世界の世界神ティアラ様がわたくし達を迎えてくださいました。
「もちろんだよダチ公!で、こっちはあたしの世界のペーペー女神のマナリスだ!」
わたくしはカトラス様に上機嫌にバシンバシン!と肩を叩かれる様にして紹介されました。
「あら、可愛らしい女神ね。わたくしは科学の世界の世界神ティアラよ。マナリスちゃん、よろしくね♪」
そう言って微笑みながらわたくしに手を差し出してくださいました。
「はい。科学の世界神ティアラ様、よろしくお願いします」
わたくしもそう言って微笑みながら握手に応じました。
「それではごゆっくり♪」
科学の世界神様はそう言って他の神々への挨拶に行かれました。
「マナリス!あたし達も飲んで食って楽しむぞ!――しかもダチのパーティーだから食いもん全部タダなんだぜ?」
カトラス様は張り切っていらっしゃいます。
3/6.「そもそもどの様な『』なので?」
「はい。――ですが、これはそもそもどの様な集まりなのでしょうか」
わたくしはそもそもこのパーティーの趣旨を全く知らないのです……。
「あ!わりぃ!全く話してなかったな!!――これはダチ公の世界の新米女神の成年パーティーだぜ!」
成年パーティーだったのですか……。
しかしこんなに神々が集まるものだったのですね……。
「神がいっぱいいるだろ?――これはちっと珍しい事だぜ。――いや、珍しいなんてもんじゃねぇ」
確かに神々がたくさんいらっしゃいます。
しかし一体何が珍しい事なのでしょうか?
「ここだけの話だがな、今回成年を迎えたダチ公んとこのペーペー女神が引き当てた勇者がすんげぇらしい」
するとカトラス様が真剣な面持ちでわたくしに耳打ちしてきました。
ここだけの話という事ですから、わたくしは当然この事を口外するつもりはありません。
それにしても凄い勇者様ですか……一体どんな勇者様なのでしょうか。
「それはよいことですね」
正直羨ましいですが、わたくしの星はまだ勇者を任命する程には至っていませんから、わたくしにはあまり影響の無い事でしょうね。
4/6.「考えてもみろ」
「良いどころか、すんげぇ良い事だぞ!いいか?マナリス。考えてもみろ」
これは大変よい事なのだそうですね。
「はい」
わたくし自身もちゃんと考えてみます……。
「先ずダチ公が上機嫌だった事だ。アイツはしょっちゅう忙しい忙しいつって不機嫌だったんだぜ。それがここへきてあんな笑顔になってんだぞ???」
わたくしはカトラス様ほどその親友の世界神様の事を詳しく存じ上げませんので、何とも申し上げる事が出来ませんが……――
「そうだったのですね」
――確かに不自然な事なのでしょうね。
「ああ、これはタダ事じゃねぇくらいにな。――でだ、そのペーペーが勇者を任命してから間もないらしい。――普通こういうのはある程度成果を上げてからするもんだろ?失敗しちまったら超恥ずかしいもんなぁ???」
確かにそうですね。喜ぶには早過ぎます。
「確かにお祝いするには早過ぎますね」
しかし、つまりどういう事なのでしょうか……。
「そうなんだよ、祝うには早過ぎる……。これはつまりだ、私の息が掛かっていてお気に入りの女神の勇者に手を出したらしょうちしねぇぞ?ってこったぜ」
えー!?!?!?
本当にそのような牽制の意味合いがあるのでしょうか……。
わたくしには普通のパーティーにしか見えません……。
「知らなかったです……」
わたくしは無知ですから……。
5/6.「知らねぇのも無理はねぇ」
「まぁマナリスが知らねぇのも無理はねぇ。あたしはお前をこういう陰謀や策略が渦巻く場所には連れてこなかったからな」
そうだったのですね。――ありがとうございます、カトラス様……。
確かに今のわたくしには荷が重過ぎる場所です……。
「お気遣いなさってくださっていたのですね。――カトラス様、ありがとうございます」
カトラス様はたびたびわたくしの事を気に掛けてくださっているので、新米の女神のわたくしにとっては非常にありがたい事です。
「あったりめぇよ!――でだ、あたしはダチ公が特別気に掛けている程の勇者に興味がある」
カトラス様が勇者に興味を持たれている事もわたくしとしては大変珍しい事です。
「珍しいですね」
それに何だかカトラス様も楽しそうです。
「珍しいだろ?――ダチ公がここまでしてんだ、新米がよっぽどの勇者を引き当てたにちげぇねぇ」
よっぽどの勇者……。
「わたくしには想像も付きません……。一体どれ程の勇者なのでしょうか……」
一般的には魔王クエスト級で当たりと言われている事は知っています。
魔将クエスト級なら普通、まぁ勇者自体見つける事は難しいのですが、困難の際には見繕いや抱き合わせ次第でどうにでも対処出来るでしょう、と教わりました。
「ダチ公は魔王級ならチョクチョク当ててるからそれはちげぇ、って事は上だ。それも遥かにな」
世界神がそう言うとマナリスは思わず息を呑んだ。
「遥か上……SS級でしょうか?」
6/6. 幼い頃に絵本で読んだ「」
私には想像も付かない世界ですが、1つだけ心当たりがあります。
それはわたくしが幼い頃に絵本で読んだ「楽園の勇者」です。
*「楽園の勇者」とは竜を狩れば「ドラゴンキラー」、剣術を駆使して王の地位へ成り上がった者あるいは剣の腕に長けている王を「剣王」と言う様に称号の一つ。*
*また「楽園」とはこの場合地上が戦争といった争いが無く何人(なんびと)も幸せに暮らせる状態の事。*
*またその困難さ故(ゆえ)にその様な世界へ導ける勇者は全くいない為「楽園の勇者」とは神々にとって理想の勇者像という絵本にもなっているおとぎ話の勇者の事。*
楽園の勇者とは、人々を導き地上に楽園をもたらす勇者……。
神々にとっては喉から手が出る程欲しい勇者なのは分かります。
幾多の種族を纏め上げ、一滴も血を流す事無く、地上に楽園をもたらす存在……。
勇者絡みの血生臭い話は星の数ほど存在します。
例えば権力や金銭を手にしたとたん人が変わってしまったり、魔王を倒した途端 不要と判断され暗殺されてしまったり、そもそも大半の勇者は魔王に力及ばず殺されてしまっているのです。
さらには、神殺しを企む不届き者が現れたりなど、枚挙にいとまがありません。
ですからそれゆえ性格が良く裏切られる心配が無いといった高ランクの勇者が神々の間で人気で、その魂が高値で取引されているのですが、その中で最も高値で取引、いいえ、幻の存在が「楽園級」です。
「そうだ、遥か上だ。――いや、SS級でもねぇ。――あたしは楽園級なんじゃないかと睨んでる。――見てみろ、あのダチ公の幸せそうな顔を。――ありゃ間違いねぇ」
カトラス様が視線を向けた方へわたくしも視線を向けてみると、そこには確かに幸せそうに談笑している科学の世界の世界神様のお姿がありました。
楽園級……。わたくしからすれば、いえ、ほとんどの神から見ておとぎ話の世界でしょう。
本当に実在して、あの科学の世界の世界神様に仕える新米の女神様が、本当に楽園級を引き当てたのでしょうか……。
かくしてマナリスは幼い頃に抱き諦めていた恋心を呼び覚ました。
後書き
神々の中での勇者評というのは実にシビアで人格が整っているのは当然として強くて二流、国を造って一流という感じで人々が安心して暮らせる環境を作るというアフターケア能力も重視されています。
またもちろんの事目的の為とはいえ犠牲を多く生む者、よこしまな者は三流あるいはそれ以下、そして神の命を狙う不届き者は論外という感じです。
また世界にもよりますが神と勇者が二人三脚で地上を統治するという意識の神も多くそうなると当然神と人間の人間関係が生まれる為関係が構築しやすい様に性格が良くそれこそ恋愛が出来る勇者の価値が高いという感じです。
また神は地上にいる者を全て把握出来る為悪人の多さに辟易(へきえき)しそれ故(ゆえ)美しい心を持つ勇者の需要に拍車が掛かっているという訳です。
ちなみに科学の世界では初期段階で国を造ったりある程度発展した段階で善良な領主になったり大きなホワイト企業を作ったり善良な政治家になったり第一人者として勇敢に挑戦したり慈愛の精神で科学や医学などの分野で人類の進化に寄与したり誰かを助けたりした者が「勇者判定」になりその魂が神々の間で特別にやり取りされる様になります。
また基本的な話になりますが勇者とは神が指名した者と国や教団が指名した者の2種類が有り国王がとあるSランク冒険者を勇者に任命したとしてもそれが神の意志によるものでなければ「神の勇者」にはなり得ないという訳です。
また好条件の勇者など希少価値が高くなる程値段も上がる為例えば魔法の世界で貧乏な神が魔王の脅威に直面した場合二流、三流の勇者を用意(レンタル)したりあるいはとにかく戦える奴を寄せ集めて何とかしなければいけない、というのが実情という感じです。
逆にアンの様に一流の勇者を自分の庭で見付ける事が出来た場合自分の星で使えるばかりかレンタルで他の神々に貸す形で一生稼げる様になります。
ちなみに「勇者」は自前で育成する事も出来るのですが才能の有る者に「勇者になれ」と言ったところで「嫌だ」と返されたら終わりであり手当たり次第に声を掛けていればいずれ「私は神の声を聞いた!勇者になれと命じられた!」などと言い出す者が現れ多くの者に声を掛けていた場合似た様な者達が徒党を組んで支配しようと企んだりと地上が大変な事になってしまう可能性が有り結局勇者は自然発生に期待するか誰かから借りるか買うしか無いという感じです。