[R15] 優しく俺様系で女が好きな天才新社会人、異世界を救う (JP) – 1章 3節 10話 地球の女神 – 交渉 (アン視点)


前書き

青年男性向け – ソフト – R15

第3節 幼馴染 (第1章 勇者の村)

第 10 / 19 話

約 4,800 字 – 6 場面 (各平均 約 800 字)


1/6.「『』の方がお見えです」

「アン様、ティアラ様とデスゲームの優勝者の方がお見えです」

凛穂はアンにティアラの来訪を告げた。

「裕太もいる……!?」

アンは裕太が自殺するところを見てしまったのがショックでそれ以来体調が悪く寝込んでいたのだがティアラが来たと聞いてバッ!と掛け布団を飛ばし上体を起こした。

「いえ……いませんでした……」

凛穂は残念そうに告げた。

「じゃあ帰ってもらってよ……」

アンは気力的にティアラが裕太を連れてくるまでベッドから起き上がるつもりは無かった。

「しかし優勝者の方もいますので裕太様に関してティアラ様からアン様に大事なお話が有るのかと」

凛穂はデスゲームの際裕太視点を観戦していた為ティアラ達がやって来た事情は察していた。

「じゃあ行く……!」

アンは裕太の事ならと元気を出し応接室へと向かった。


2/6.「『』……!」

「ママ……!」

アンは扉を開けるなりソファに座っているティアラにダイブする様に抱き付いた。

「あらあら、そんなに泣いてどうしたの?アン」

ティアラはアンが落ち込んでいる理由を理解しながらアンに優しく抱き締め返した。

「だって裕太がまたいなくなっちゃったし帰ってこないしそこの知らん女とずっとベタベタしていつの間にか付き合っちゃうし死んじゃったしママが連れて帰ってくるって言ってたのに今いないし……」

アンは自分が悲しんでいる理由をティアラにぶつけた。

(この人がティアラ様が癖が強いと言っていた「アン」さん……)

優美華はアンが「そこの知らん女とずっとベタベタしていつの間にか付き合っちゃうし死んじゃったし」と言っていた事に顔が引きつってしまった。

というのも優美華はアンにとって「どこの馬の骨かも分からない女」という指摘は分かるし裕太が死んでしまったのは自分のせいという自覚が有るからだった。

「気持ちは分かるわ。よしよし。――で、今回はその裕太君の事で貴方に話が有って来たのよ」

ティアラはアンの頭を優しくよしよしすると本題を切り出した。

「私に話……?」

アンはティアラが自分に何の用が有るのか分からなかった。

「とりあえずそこに座ってちょうだい」

ティアラはとりあえずアンに座ってほしくて手で指し示した。

「うん……」

アンは渋々座った。


3/6.「こちらが『』ちゃんよ」

「アン、こちらが今回のデスゲームの優勝者、優美華ちゃんよ」

ティアラは早速アンに優美華を紹介した。

「はい。ご紹介に預かりました優美華と申します。宜しくお願い申し上げます」

優美華は失敗する訳にはいかない為丁寧に自己紹介し頭を下げた。

「知ってる……泥棒猫……」

アンは優美華に怒っておりイライラを隠すつもりは無かった。

「そういう言い方は良くないわよアン。私の記憶が正しければ裕太君は独身だったはずだけど?」

ティアラの記憶ではその時の裕太は謎のお姉さんとの約束でティアラ達の付け入る隙の無い程独身を貫いており彼女はいないはずだった為優美華には非が無いと考えていた。

しかしその点で言えばアンの独占欲に困らされているのはティアラ達の方だった。

「裕太が卒業したら付き合う予定だったの……!でも会いに行ったらあのクロなんとかが裕太の事連れてっちゃったの……!だからしょうが無いでしょ……!」

アンは完全に予定が崩されている為クロノスに憤(いきどお)っていた。

「あらそう。まぁとりあえず早速本題に入るけど優美華ちゃんは裕太君と幼馴染になって人生をやり直すのが夢なの。――」

ティアラが早速本題を切り出すと――。

「はぁ……!?」

――アンがキレたものの――。

「――だから優美華ちゃんがこの星でお世話になるけど良いわね?」

――ティアラはアンに要求を突き付けた。


4/6.「『』それ本気で言ってるの……!?」

「ママそれ本気で言ってるの……!?」

アンはあまりに馬鹿げた要求に耳を疑っていた。

「本気よ」

ティアラが自分の願望を叶える為にもこの要求はアンに絶対に呑ませるつもりだった。

「こんな泥棒猫が裕太の幼馴染にって冗談でしょ……?」

アンは自分の星の子ならまだしも部外者のしかもどこの馬の骨かもわからない他所(よそ)の女神を自分の星に居座らせたくなかったしましてや裕太の幼馴染になるなど到底受け入れ難(がた)かった。

それにアンにとって裕太の幼馴染枠はシェイク時代のニンのはずでありニンもその要求を呑めるとは思えなかった。

「本気です……!私からもお願いします……!」

優美華は念を押す為にも必死にお願いし頭を下げた。

「嫌よ……!アンタ裕太を奪うでしょ……!そうはさせないわよ泥棒猫……!」

アンは裕太を奪われる訳にはいかなかったし優美華を受け入れるつもりは無かった。

「アン、貴方が私のお願いを聞いてくれないなら私も貴方のお願いを聞いて裕太君を探してあげないわよ?」

ティアラはついに必殺技を繰り出した。

「そ、そんな……!卑怯よママ!」

アンはティアラがそんな言い方をしてくるとは思っていなかった。

「アンが自力で裕太君を見付けるか私のお願いを聞いて優美華ちゃんを裕太君の幼馴染として受け入れてまた裕太君と再会するの、どっちが良い?」

ティアラは究極の選択を迫った。


5/6.「自分で『』……!もう帰って……!」

「自分で探す……!もう帰って……!」

アンはやはり受け入れられず自力で見付け出す方に賭けた。

「分かったわ。ま、駄目だったら私に言う事ね」

ティアラはアンに助け舟を出さない選択肢は無かった。

「分かったから帰って……!」

アンはティアラ達にさっさと帰ってほしかった。

「じゃあ行くわよ優美華ちゃん」

ティアラはここは素直に引く事にした。

「はい……」

優美華はティアラに従う事にした。

そして優美華は――。

「あの……ティアラ様……」

――ティアラに大丈夫なのか訊いてみる事にした。

「大丈夫よ。アン達に裕太とクロノスは探し出せないわ。いずれ根を上げて私に頼ってくるはずよ」

ティアラは優美華が何を訊こうとしているのか察し安心する様に言った。

「分かりました」

優美華は安心しティアラはなんて頼もしいのだろうと思った。

かくしてティアラ達はとりあえずこの場を後にしアンが根を上げるのを待つ事にした。


6/6.「『』を断ってしまっても大丈夫なのですか……?」

そしてティアラ達が去った後凛穂は――。

「アン様……申し出を断ってしまっても大丈夫なのですか……?」

――アンに話し掛けた。

というのも凛穂は既に自力で裕太の捜索を試みているのだがほぼ不可能だと思っており個人的にも別に優美華という幼馴染が加わっても問題無いと考えており裕太を取り戻す為にもぜひティアラの申し出を受けてほしかった。

「良いの……!あんな泥棒猫受け入れたい訳が無いでしょ……!とりあえず私達で探すわよ……!」

アンは自力で見付けられると思っていた。

「承知しました……」

凛穂はアンに仕えている天使でありその方針に従うしか無かった。

かくしてアン達は自力で裕太の捜索を続けたものの――。

「アン様……本日も見つかりませんでした……」

――凛穂達は今日も見付けられずその事をアンに報告し――。

「何でよ……!どんだけお金使ってると思ってるのよ……!」

――アンは怒りが抑え切れなくなった。

*凛穂は調査ギルドや調査会社に裕太やクロノスの行方調査を依頼し既に大金を投じていた。*

*さらにマナリスやレーナまで大金を投じておりアンマナレー商会が今までに稼いだ利益を失う勢いだった。*

「何でよ……!どんだけお金使ってると思ってるのよ……!」

――アンは怒りが抑え切れなくなった。

「アン様……金庫がもう限界です……」

凛穂は資金的に裕太の捜索を自力でするのはもう不可能だと思っていた。

「分かってるわよ……!今方法を考えてるから黙ってて……!」

アンはそう言いながらも他に何も策が思い付かずにいた。

「アン様……マナリス様やレーナ様も既に巨額を投じております……もはやティアラ様に頼る他(ほか)無いかと……」

凛穂はもうこれ以上友達までお金を失ってしまわない様にアンにティアラの申し出を受けてほしかった。

「もう……!分かったわよ……!ママに言う……!」

アンは自力で裕太を探し出す事を諦めティアラの申し出を受ける事にした。

かくしてアンはティアラの申し出を受けティアラの思い通りになったのだった。


後書き

予定が狂ったのはマナリスも同じで裕太の捜索に今までの稼ぎが吹っ飛ぶ程の大金を投じています。

もちろんレーナも罪滅びしの一環で積極的に協力しているのですがマナリスもレーナもこれでまたお金を稼ぐ為にアンもといアンマナレー商会の活動が活発になると良いなと期待しています。

ちなみに最後の行方不明者である裕太が見付かるまで世界は緊急停止しており世界神政府にはその苦情が殺到していてティアラも少なからずリスクを負(お)っています。

ちなみに長い事世界が緊急停止している為皆(みな)もう停止している状況に慣れておりむしろ仕事に復帰するのが嫌だとすら思っている神々も多くいるという感じです。