[R15] 優しく俺様系で女が好きな天才新社会人、異世界を救う (JP) – 1章 3節 7話 幼馴染の女神 – 夢 (優美華の視点)
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青年男性向け – ソフト – R15
第3節 幼馴染 (第1章 勇者の村)
第 7 / 19 話
約 6,900 字 – 9 場面 (各平均 約 760 字)
1/9.「デッカいね!」
最高スコアを叩き出した裕太達は――。
「デッカいね!」
「大豪邸ですよ……!」
「広いね」
うん!広い!
優美華はコクリと頷いた。
――運営によりお屋敷が与えられた。
そしてすぐにサイモンが会いに来た為応接室に通し――。
「しかし凄い待遇だね」
――サイモンは裕太達の待遇の良さに驚きを隠せなかった。
「僕も驚いているよ」
裕太もこれ程までクロノスが良くしてくれるとは思っていなくてあまりの待遇の良さに驚いている。
「で、サイモンさんが何の用なの?」
同席しているユリアは早速本題に入ろうとした。
「君達が深層を攻略している間に進んだ議論の事なんだけど、グループ内で死者蘇生や願い、夢を託し合ったりグループの枠を超えて有力な個人やグループに強力をする見返りにその人が神になったら代わりに夢を叶えてもらうのはどうか?という論調が起こってきてね、そこで僕達は君達に夢を託したいと思ってるんだ」
同席しているユリアは早速本題に入ろうとした。
「なるほど。自分が死んじゃっても誰か1人でも仲間が優勝してしまえば夢が叶うんだもんね」
ユリアは納得した様に思考を巡らせた。
2/9.「『』を勝たせたいのだがどうだろう?」
「なら僕は裕太氏を勝たせたいのだがどうだろう?」
テオは一番信頼している裕太に神になってほしかった。
「私は賛成。ってか誰が勝ってもハッピーエンドになる様にしたい」
ユリアはより安全で実現可能な方法が何かを考えた。
「もし僕が神になったら、まぁ『神』にどこまでの事が出来るかは分からないけれどあのクロノスの自由自在さを見ると相当出来る事の幅が広いだろうから出来る事なら全員を死者蘇生して出来る限りの要望には応えたいと思っているよ」
裕太は自分が神になったらの事を話した。
「それが名案だと思うんだ。それなら一人一人の遺言も記憶する必要が無いだろうしね。という訳で僕らサイモングループは裕太パーティーの傘下に入ってでも皆の夢を託したいんだ。どうかこの通り」
サイモンは必死の思いで頭を下げた。
「げっ……!サイモンさん頭を上げて……!」
ユリアはサイモンが頭を下げた事に驚いてしまった。
モ「裕太さん。私からもお願い」
優美華も裕太に神になってほしかった。
「優美華からもお願いされてしまったよ。まぁそのつもりでいくけれど誰が神になっても全員の願いが叶う様に協力者達で情報を共有したい」
裕太としては誰が神になってもみんなの願いが叶う様にしたかった。
「それが一番良いわよ!」
うん!私もそう思う!
優美華は笑顔でコクリと頷いた。
「僕も同感です」
「その案でお願いするよ。では早速グループの皆に伝えてくるね」
裕太としては誰が神になってもみんなの願いが叶う様にしたかった。
かくして優勝候補の裕太達のもとにサイモングループなどが集まり誰が優勝しても良い様に情報が共有される事となった。
3/9.「『』に来なさい」
しかし接触を図ってきたのは好ましい者達ばかりではなく――。
「なぜ私が弱者共を蘇らせて願い事を1つ1つ聞いてあげないといけないのかね?弱者の事など捨て私のグループに来なさい」
「あらよく見たらイケメンじゃないの。私がな~んでもしてあげるから私をお仲間に加えてくれないかしら?でも最初に言っておくけど私は貴方なら蘇生させてあげるけど他の人達のお世話なんてゴメンよ」
「やぁ久しぶり。初日以来だね。君なら何かを成し遂げると思っていたんだよ。私はなんせ大統領だからね、人を見る目が有るんだ。で私は今はあちこちでグループ間の橋渡し役を担っているのだがぜひ君にも協力をさせてほしいんだ。その見返りと言ってはなんだが君のグループの遺言の輪に私も入れてほしいんだがお願い出来るかね?」
「テメェ、俺様を神にする為に協力しろ……!」
――などと要求される事も有り大統領の申し出ならまだしも裕太が冷酷な者や自分勝手な者、強引な者の思い通りにはならなかった為これらの勢力とは当然ながら敵対する事になってしまったのだったが――。
「大丈夫よ裕太!あんな奴らの言う事なんて聞かなくて良いんだから……!」
「そうですよ裕太氏。あんな者達とは組むに値せず、です」
そうだよ!うんうん!
優美華は元気良く頷いた。
「でもたった今からゲーム外ですら狙われかねなくなってしまったかもしれないんだよ?」
裕太は優美華達を巻き込んでしまった事が非常に辛かった。
「私達の事は大丈夫だから……!」
「僕達はパーティーでありグループなのですから1人は皆の為に、皆は1人の為に、ですよ!」
うん!
モ「だから裕太さんのせいなんかじゃないよ!」
「みんなありがとう……」
裕太はみんなから元気付けられ仲間というものがいて良かったと思ったのだった。
4/9. モ「あの時どうして」
そして夜になり優美華はやっと裕太と安心して過ごせる様になっていた事も有り――。
モ「あの時どうして私を助けてくれたの?こんなに意気地無しで愛嬌が無くてロクに言葉も発せない役立たずの私を」
――あの時どうして助けてくれたのかを訊いてみた。
「あの時点ではデスゲームが起こる事は分からなかったけれどデスゲームだろうと何だろうとあの時の君には誰か助けが必要だと思ったからだよ」
裕太にとって相手を助けるのに理由は必要無かった。
モ「私を見捨てないで助けてくれてありがとう」
優美華は裕太に感謝し泣いてしまった。
「こちらこそ僕に助けられてくれてありがとう」
裕太はあの時例え優美華に助けるのを断られたとしても押し売りしてでも助けるつもりだった為助けられるのを素直に受け入れてくれた結果正々堂々と護衛が出来ているので感謝している。
モ「フフフ、変なの!」
優美華は裕太が優し過ぎて理屈がおかしくて笑顔になった。
「別におかしくないと思うんだけどなぁ……」
裕太はトホホ……という気分になってしまった。
モ「私こんなに人とお話ししたのは生まれて初めて。人とお話しをするのってこんなに楽しかったんだね」
優美華はたくさんお話しが出来ているのが楽しくて嬉しかった。
「優美華が喜んでくれて嬉しいけど僕としてはこうしてずっと手を繋いで優美華を縛り付けているというか、僕が独占し続けているみたいで申し訳無い気持ちは有るんだよね」
裕太は優美華の自由を制限している様で申し訳無く思っていた。
5/9. モ「私……きっと『』に出会えなかったら」
モ「私……きっと裕太さんに出会えなかったらどこのグループにも入れてもらえなかったり仮に入れてもらえたとしてもお荷物になってすぐに死んでたと思うの……だけど裕太さんは私に意思疎通のやり方を教えてくれて役立たせてくれたから……私はどうせ自由時間を貰ったってみんなとお話し出来ないし……だったらお話し出来る裕太さんと一緒にいたいから……裕太さんなら私の事独占しても良いと思ってるから……」
優美華は裕太とずっと手を繋いでおり深層を攻略し余計に注目を浴びた事で外野(がいや)からよく「デスゲームカップル」などという言葉が聞こえてくるのだが悪い気はしていないし裕太とずっと一緒にいたいと思っているのだが――。
「ん~そう思ってくれるのは嬉しいけど僕はずっと優美華に申し訳無いと思っているからねぇ。僕とずっと手を繋いでいるのはとても不便だろうしもしかしたら僕のせいで優美華の手や腕に疲労が溜まってしまっているかもしれないし」
――裕太は自分が優美華の自由や自立を邪魔しストレスを与えている様な気がしてならずダンジョン攻略時は魔法やスキルで念話する方法を模索したり攻略後は運営へのリクエストで優美華の声問題を解決しようとしたのだが娯楽品ならまだしもプレイヤーを強化してしまう様な事は出来ないと断られてしまっており途方に暮れていた。
モ「大丈夫だよ。私の事は気にしないで」
優美華はそう言うが――。
「僕は優美華の事を気にしない事が出来ないからなぁ……」
――裕太は自分には出来そうにないリクエストの為受け入れる事が出来なかった。
モ「裕太さんは本当に優しいね」
優美華は裕太の腕に寄り添った。
「それはどうも」
裕太は優美華が褒めてくれたので気恥ずかしいが精一杯感謝しておいた。
モ「そういえば裕太君よければ話を聞くって言ってくれたよね?」
そして優美華は優しい裕太に自分の過去の事を話したかった。
「無理して話さなくても良いんだよ?」
裕太は優美華に無理をしてほしくなかった。
モ「ううん。裕太さんにだからこそ聞いてほしいの」
優美華の決意は固かった。
「分かったよ。じゃあ僕に優美華の過去の話を聞かせてくれるかい?」
裕太も優美華の口から過去の話を聞く覚悟を決めた。
モ「うん……」
6/9. モ「ごめんなさい……」
そして優美華は――。
モ「私ね……家庭が崩壊して学校にもお爺ちゃんお婆ちゃんの家にも居場所が無くてそれで進学するお金も無くて私満足に人と話す事も出来ないからバイト先を見付けるのも大変で安い賃金の内職でギリギリで一人ぼっちで生きてきたの……だからあの時高校生って嘘吐いてごめんなさい……」
――自分の過去と真実を明かした。
「今まで本当に大変だったんだね。僕に話してくれてありがとう優美華。それに謝らなくても大丈夫だからね。しかしそれにしてもそもそもどうして家庭が崩壊してしまったのかい?」
裕太は優美華が話しづらい事を話してくれた事が嬉しかったものの疑問が数多く有りその疑問を解消していこうとした。
モ「私記憶力が幼い頃から良くて最初は物覚えを褒められたりテストで100点を取ったりするとパパとママが褒めてくれて嬉しかったの。それで私パパとママに喜んでもらいたくてたくさん覚えて手伝おうとしたの。でもそしたら気味悪がられる様になっちゃったの……――」
*「貴方どうしてそんな事まで覚えてるの……!」*
優美華は両親から次第に気味悪がられる様になっていったものの――。
モ「――それで私人の顔色を伺う様になったんだけどそれでも私頼ってもらえてパパがママをママがパパを誰と不倫してると思うか訊かれて私は否定したんだけど一応可能性として自分が知ってる限りで話したの――」
*「知らない男の人がママと仲良さそうにしてるところ見たこと有る?」*
*優美華の父親は優美華の頭が良過ぎる為自分の娘ではないのではないかと優美華の母親の不倫を疑っていた。*
*「パパって不倫してると思う?」*
*優美華の母親は優美華の父親の気持ちが自分から離れた事を感じ取り優美華の父親が不倫しているのではないかと疑っていた。*
――頭の良さを期待され相手の不貞(ふてい)を知っているか訊かれその可能性を否定したものの顔色を伺うのが得意になっていた優美華は自分の両親を手伝いたい一心で誰と笑顔で会話していたかなどを詳細に話してしまい――。
モ「――それでパパとママは喧嘩する様になっちゃって離婚しちゃったの……私が悪いの……」
*「お前俺より頭の良い奴と不倫してたんだろ……!」*
*「してないわよ!アナタこそ同僚の女と仲良くしてて不倫してるんでしょ……!」*
――疑心暗鬼になった両親がお互いの信頼感を失い離婚してしまった話を涙ながらに語った。
7/9.「『』が気にする事は無いさ」
「彼らが優美華の事を信じられなくて勝手に仲違いしてしまっただけだから優美華が気にする事は無いさ」
裕太は空いている右手で泣いている優美華の頭の後頭部へ回し軽く寄せる様にして抱き締め頭を撫でた。
モ「うん……」
優美華は裕太がそう言ってくれたし話を聞いてくれたおかげで少し心が救われた。
「それで学校とお爺ちゃんお婆ちゃんの家に居場所が無かった事については?」
裕太は続けて優美華が言っていた居場所が無かった事についても訊いた。
モ「うん……それはね……学校は最初は楽しかったんだけど……『余裕ぶってるけど本当は裏で勉強してるんでしょ?』とか『カンニングしてるんじゃないの?』って言われる様になって家に帰ってもパパとママが喧嘩してて私暗くなっちゃってテストでもわざと間違える様にしたんだけど成績が下がったらもっと虐められる様になっちゃって……――」
*「めっちゃ裏で勉強してる癖に学校で余裕ぶってるのマジでキモイんだけど!」*
*「告白されたらしいけど振るとか調子に乗り過ぎ!」*
優美華は学校で嫉妬され誤解され虐められ――。
モ「パパとママが離婚して苗字が元に戻ったらもっと虐められてその後すぐにママが再婚したんだけど私お爺ちゃんとお婆ちゃんの家に預けられて転校したんだけどそこでも馴染めなくて上手く声も出せなくなっててお爺ちゃんとお婆ちゃんにまで邪魔者扱いされてどこにも居場所が無かったの……」
*「離婚したんでしょ?おめでとう!」*
*「ママは再婚するからお爺ちゃんとお婆ちゃんの家に行こうね」*
*「あの子めっちゃ暗くない?」*
*「うんうん。めっちゃキモイ」*
*「都会から来て私達の事話す価値無しみたいな感じでめっちゃ見下してそう」*
――親に捨てられ転校先の学校にも馴染めずお爺ちゃんとお婆ちゃんには邪魔者扱いされ完全に居場所を無くしていた事を語った。
8/9.「『』になろうね優美華」
「そんな酷い人達がうんと羨ましいと思うぐらい、優しくしておけば良かったと思うぐらい幸せになろうね優美華」
裕太は優美華は絶対に幸せになるべきだと強く思った。
モ「うん……!」
優美華は裕太に背中を押され絶対に幸せになってやると決意し頷いた。
「ところで優美華はどんなお仕事がしたかったのかい?」
裕太は優美華のしたかった仕事を訊いた。
モ「私は……うーん……考えた事無かったけど……誰かとお話ししてその誰かを助けたり幸せにするお仕事が良いな」
優美華はまだ明るく喋れていた小学校低学年の頃に抱いた成りたい職業の話をした。
「優美華の頭が良い事も考えたら診療で患者さんとお話しをするお医者さんや弱者を法的に助ける人権派弁護士とかかなぁ?」
裕太は優美華の言った条件に合致し似合いそうな職業をいくつか挙げてみた。
モ「お医者さんも弁護士も良いね。でも私は別にお菓子屋さんやお花屋さんの店員とかでも良いんだよ?」
優美華は別にエリートになりたい訳ではなく人並みの幸せに憧れていた。
「そうなんだね。まぁ優美華と出会った時に言ったけど僕が優美華の就職先を何でも用意してあげるし学校の学費だって僕が出してあげるから絶対にここから出て幸せになろうね」
裕太は優美華の就職先どころか学費の面倒まで見るつもりでいた。
モ「うん……!――」
優美華は元気良く頷きその瞳はすっかり泣き止んでおり――。
モ「――でも裕太君も幸せになってね!」
――裕太も幸せになってほしいと告げた。
「そ、そうだね……」
裕太は女以外欲しい物をとっくに全て手に入れており既に燃え尽き症候群に陥(おちい)っている為優美華の言葉にただ同意するしか出来なかった。
9/9.「『』は何なのかい?」
そして裕太は――。
「じゃあ優美華の夢は何なのかい?」
――優美華に夢を訊いた。
「私は……もし裕太君が良ければ……また人生を一からやり直して……裕太君と出会ってお付き合いして……その……いつか結婚して……幸せな家庭を築きたい……それが私の夢だよ……」
優美華はどんな返事がくるか怯えながらも勇気を出し裕太に告白した。
「僕も同感だよ。優美華が良ければお付き合いして結婚して幸せな家庭を築こうね。僕もそれが夢だから」
裕太も優美華に告白した。
モ「うん……!――」
かくして裕太と優美華は将来を誓い合った。
私の夢も裕太さんの夢も叶うと良いなぁ。
*「叶うと良いねぇ!☆」*
クロノスは無邪気にゲス顔でそう言い放ちモニターの優美華の額(ひたい)にデコピンし裕太の唇にキスした。
かくして裕太と優美華は夢を語り合い明日(あす)のゲームに備え寝た。
後書き
裕太が優美華の気持ちに応えたのは後に判明する卒業したら会いに来てくれると言ってくれていた「謎のお姉さん」と会えなかった為優美華からのアプローチに折れたという格好です。
しかし裕太は夢なんて叶わないだろうと諦めており優美華を勇気付ける為に合わせている部分も有ります。